米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2012年12月27日木曜日

マーケティング系プロジェクトについて


Class of 2014TEDです。

今回はマーケティングについて書いてみたいと思います。ファイナンスについてはKeitaの過去のポストを参照していただければ幸いです。

次のSpring Semesterから1年生も選択科目が履修できるようになります。その中でも目玉と言えるのがMP electiveです。MPとはManagement Practice の略でいわゆるHands-on型のProjectだと考えていただいて結構です。課題の設定、戦略立案、プレゼンという一連のコンサル業務の流れを半年にわたって実際の顧客に対して行うという訳です。

コース全体としては5つの選択肢が用意されており、学生は自分の関心分野に合わせて履修を決定します。その5つとは以下のようなラインナップです(2012年現在)。
  • Financial Valuation: Theory & PracticeValuationに焦点を当てあたファイナンス系プロジェクト。
  • Goizueta Marketing Strategy Consultancy (GMSC): マーケティング課題をテーマにしたコンサルプロジェクト。
  • Marketing Analytics Consultancy (MAC): Data-Driven Marketingに重きを置いたマーケティング系プロジェクト。
  • Project Mgmt. & Collaboration: 戦略の策定だけでなく実行フェーズに重きを置いたオペレーション系プロジェクト。
  • Catalyzing Social Impact: GMSCNGO/NPOバージョン。
今回はマーケティング系科目の投稿ということで、GMSCMACについて、特に今年から新たに開設されたMACについてフォーカスしてみたいと思います。

Goizueta Marketing Strategy Consultancy (GMSC)
言わずと知れたGoizueta Business Schoolの看板プロジェクト。アトランタという大都市の地の利を生かし、プロジェクトに参加する顧客も非常に充実しています。マーケティングの名を冠していますが、むしろ戦略系コンサルの実業にもっとも近いプロジェクトと言えます。また、クライアントと密にプロジェクトを進める過程そのものから学ぶことも多く、マーケ・コンサルに限らず様々な視点を持った学生が参加しています。
看板プロジェクトなだけに情報も多いため詳細は以下URLを参照ください。

公式ホームページ
http://goizueta.emory.edu/gmsc/about_overview.html
GMSCはプログラム名であり組織名でもあります。私も出願時は混乱しましたが、現時点ではプログラム名として捉えていただいて構いません。
過去ログ(GMSCでフィルタしています)

Marketing Analytics Consultancy (MAC)
さて、もう一つのマーケティング系プロジェクトとして来春からラインナップに加わるのが、Marketing Analytics Consultancy (MAC)です。こちらは、Data-driven marketingにフォーカスした、コテコテのマーケティングプロジェクトだとお考えください。GMSCMACの違いでいうと、GMSCが課題設定から戦略の実行までのフィールドワークを幅広くカバーしているのに対して、MACはデータを使った戦略立案フェーズにフォーカスしています。
Goizuetaでやりたいこととして、GMSCと後述するEmory MACプロジェクトの両方を考えていた私にはMP electiveの選択は難しいものでしたが、結果的に今回はMACを選択しました。

このプロジェクトの背景に触れておきます。同じMACでややこしいのですが、当スクールは世界的なマーケティングリサーチ機関、「Emory Marketing and Analytics Center (通称Emory MAC)」を有しています。ここではData-driven Marketingをはじめとした世界最先端のマーケティングの研究を行うとともに、当スクールに高品質なマーケティング系の授業を提供しています。その一端として、来春からMarketing Analytics Consultancy (MAC)が提供されることになりました。

公式ホームページ
Emory Macが提供する科目

そもそもマーケティングには大きく分けて、Consumer BehaviorData-driven2分野が存在します。Customer Valueから考える王道のマーケティングである前者に対して、後者はデータ解析によって顧客の特性を見出すようなイメージです。ITの発達により顧客データにリーチできるようになったことに加え、コンピュータの高性能化・低廉化により近年急速に発達している分野です。「データリッチ」「ビッグデータ」等というキーワードを聞いたことがある方もいるかもしれません。個人的なバイアスがかかりますが、少し前に急速に発達した金融工学などと比較しても、Data-driven Marketingはさらに新しい勢いのある研究分野であり、大きな可能性を感じています。

新たなコースのため、来春のMarketing Analytics Consultancy (MAC)の詳細はわかりません。ただ、事前のPCセットアップ等のセッションを受講する限りでは、かなり高度なデータ解析をガンガンやっていくことになりそうです。どうしても「ふんわり」しがちなマーケティングにおいて、Solidなハードスキルを身に着けられるのは将来的に大きな武器になると期待しています。クライアントも、MLB球団や国際的なホテルチェーン等、手ごたえのありそうな顔ぶれが揃っています。

Data-driven Marketingは日本では特に遅れている分野です。たとえば、皆さんの財布の中には無数のポイントカードがあると思いますが、顧客の購買履歴(POSデータ)をマーケティングに活用できている企業はほぼありません。その意味で、MACはコンシューマープロダクトのマーケティングや製品開発に関心のある方は非常におススメです。また、リテンションやCRMがますます重要視されつつあるサービス業に関心がある方にも有益だと思います。

今回はMBAではマーケティングを学びたい、という方にはぜひおススメのプロジェクトを紹介させていただきました。

TED
MBA Class of 2014

2012年12月11日火曜日

Operation Strategy


こんにちは。2年生のAです。
今年も残す所、あと三週間となり、受験生の方々は激しい追い込みをかけている方が多いと思います。冷え込みもますます厳しくなりますので、どうぞ体調にはお気をつけて下さい。

イベントや生活に関する記事が続いていたので、今回は面白かった授業であるOperation Strategyを紹介したいと思います。元々、製造業出身の上、教授や授業自体の評判も良く、目玉授業の一つと聞いたので取ったのですが、正解でした。

まず担当教授ですが、Eve Rozenzweigという女性で、とにかく元気でノリが良く、面白おかしく授業を提供する人です。(http://goizueta.emory.edu/faculty/academic_areas/isom/rosenzweig_eve.html)


これぞMBAという非常にInteractiveな授業で、生徒間の意見交換もとにかく活発でした。リスニングに難のある私にとってはなかなか大変でもありましたが、レクチャーだけではなく、多くのシミュレーションゲームを組み込むことで、飽きさせない構成になっていて、評判が高いのもうなずける内容でした。

次に講義の内容ですが、必修授業でのOperation授業とは随分違いました。必修授業の方では、稼働率、利用率、生産性、ボトルネックなど、いかにもな内容を勉強したのですが、Operation ManagementはStrategyやMarketingなどの視点を盛り込んだ、ゼネラルマネジメント寄りの授業でした。例えば、まず業界、競合相手を分析し、その業界に参入するための条件(低価格、高品質などの競争力)や、他社に先駆けて受注を勝ち取るための条件を明確にし、それらを満たすためのOperation戦略を設定するという話から始まります。
また今では当たり前の海外アウトソーシングにおけるノウハウもしっかり学びます。例えば文化、地理的条件(コストやスピード)の差異などがどのように影響し、いかに対処していくか、といったものです。個人的には、オフショア開発に関する話題は、アカデミックな形でおさらいが出来て良かったと感じています。オフショアによる自社の技術力・開発力の流出または衰退といった問題は長期的にどう考えるべきか、といった所までカバーされていると良かったですが、全般的に新たな学びが多く得られたと感じています。

Goizuetaの学生はFinanceやコンサルティング畑の人間がやや多いので、コテコテのOperationにはあまり興味がない学生も多いように感じます。しかし、「業界全体の特徴や流れを踏まえつつ、経営戦略上の目的達成に対する寄与を最大化するため、どのようなOperation戦略を設定するべきか」という、ゼネラルマネジメントのレベルでのOperationを考えることに興味がある学生は結構多いと思います(実際、この授業は40-50人規模の生徒が参加し、満席でした)。Operation系の授業はマイナーなイメージを持っていましたが、こういった観点から、この授業は誰でも学びを感じられる良質の授業だったと思います。

GoizuetaはMarketing、Finance系のイメージが強いですが、どの分野にもこのような良質な授業が多く、各分野のノウハウを総合的に駆使して経営上の課題を解決するという点に重点をおいています。その点でゼネラルマネジメントに強いとも言える学校です。またスモールコミュニティなので、色々な分野出身の友人もたくさん出来るし、彼らと気軽に情報交換が出来ます。こういった特徴から、自身の専門分野だけでなく、他の分野にも幅広く知識を広げたいと考えている受験生の方にも、非常にマッチする学校だと思います。

2012年12月3日月曜日

ゴイズエタでの1年半を振り返って

Class of 2013のタツです。

あっという間に2012年ももう12月ですね。私がゴイズエタに入学してから、はや1年半が過ぎようとしています。2年制MBAはコアを含めて4セメスターありますが、私は最後のセメスターは中国香港科技大学(HKUST, Hong Kong University of Science & Technology)への交換留学を予定しているので、私がアトランタで過ごせる時間はあと2ヶ月足らずとなりました。たったの1年半でしたが、アトランタ&ゴイズエタは素晴らしい出会いと経験をくれた場所でした。
 
 

この1年半、ゴイズエタでは色んなことがありました。純粋に楽しいPMEL(Pre-MBA English Language Program)から始まって、Win-Shape23日のキャンプ)では大きく友人の輪が広がり、コアではマーケティングや統計学などビジネスの基礎を叩き込まれました。コア終了後、India Tripではネイティブとの共同生活のもとでインド経済の現状を肌で学び、GMSC (Goizueta MarketingStrategy Consultancy)では実企業を相手にコンサルティングを行い、IBA (International Business Association)ではPresidentとしてInternational Potluckなどの学内イベントの企画運営を行いました。他にも、Ambassador Clubの一員としてアドミッション活動をサポートしたり、夏休みにドイツ・オーストリア留学に出かけたりなど、ゴイズエタでの思い出は数え上げたら本当にキリがありません。テニスもサッカーもゴルフもパーティーも、毎週のように生活に組み込まれました。”Study hard, play hard”MBAのサブタイトルのような言葉だと思っていますが、初TOEFL63点の僕がまさにこの言葉通りのMBA生活を送ることができたのは、やはりゴイズエタという学校と、そのコミュニティに恵まれたからだと思っています。

私がゴイズエタを選んだ理由は、大きく3つありました。まずは、バランスのとれたプログラム構成とGMSCというセメスター・ロングの看板コンサルティングプロジェクト。次に、暖かい気候で知られる南部最大の商業都市アトランタという立地。そして最後に、日本人在校生、アドミッションオフィサー、面接官とのフィーリングです。南部地域のおおらかな明るい雰囲気が、自分にはマッチしていると感じました。実際に1年半をこの学校で過ごしてみて、これらの認識は間違っていなかったと確信しています。

それと同時に、1年半過ごしてみて気付かされたゴイズエタの特長もありました。それは、学生組織が主体的に学校運営に携わっているということです。例えば、実企業コンサルティングプログラムであるGMSCは、2年生が運営側となって企業案件を引っ張ってきますし、アドミッションイベントはAmbassador Clubが在校生を募って行います。Core Value Awardなんていう表彰式も完全に学生主体でやっちゃいます。学内のEmailing Systemも、昨年学生が組んだプロジェクトチームで変更されました。結局ゴイズエタは、学生が自分で自分たちの居心地のいい環境を作っているんですね。だからこそ、みんなゴイズエタが好きなんだと思います。どこの学校でもある程度はこうした活動はあると思いますが、ゴイズエタは一学年約150名の超スモールスクールなので、こうした一人一人の活動が、ダイレクトに学校を変えていけるんです。

MBAの面接で必ずと言っていいほど聞かれる” Why this school?”の質問。もう一度答え直せるとするならば、私は必ずこの「学生/教授/スタッフが一体となったスモールコミュニティ」を挙げると思います。授業を「受ける」だけではなく、学校を「作る」感覚。ぜひゴイズエタで味わってみてください。

 タツ
Class of 2013