米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2026年3月24日火曜日

ワシントンDCで公共政策の授業に参加:企業と政策の関係を考える

 こんにちは! CO2027のTSです。先日1年制MBA、またフルタイムMBA Round 2の合格発表がありました。合格された皆さま、本当におめでとうございます。

さて、今回は春休み期間中にワシントンDCで行われた、Washington Campusという公共政策と企業活動の関係を学ぶ集中講義についてご紹介します。

■概要

このプログラムは3月9日から13日までの5日間、朝から夕方まで、日によっては夜のプログラムも含めて行われた集中講義でした。内容は、議会、行政機関、規制、メディア、通商政策など幅広く、単なる制度の説明ではなく、企業が政策形成にどう向き合い、どう関与していくかを実務家から学ぶ構成でした。講師陣も、元政府高官を中心に、主要メディア関係者、ロビイスト、大手企業の渉外・対政府対応の責任者など、ワシントンDCの各分野の第一線で活躍してきた方々が多く、かなり現場感のある内容だったと思います。

授業では議会と行政府による政策形成の難しさ、戦略的な規制対応と政策提言の重要性、メディア・ソーシャルメディアと政策、米国通商政策の変化、規制プロセスの理解などが扱われました。

授業は講義が中心です

■企業×行政の観点を考える

前々から参加を楽しみにしており、関心を持って各講義に参加したので、学びは書ききれませんが、特にアメリカでは企業活動と政策との距離が想像以上に近いことが印象に残りました。中でも感じたのは、企業が政策の影響を受ける存在であるだけでなく、その形成過程に関与することがごく自然な実務として捉えられていた点です。

政策提言やロビイングを扱った講義では、企業による対政府対応は一回限りの要望ではなく、継続的な関係構築と情報提供の積み重ねとして説明されていました。私自身、金属資源を扱う仕事に携わってきたため、行政や立法が事業に影響すること自体は比較的身近に感じていましたが、アメリカでは民間企業が行政や立法に働きかけることが、より自然で、より日常的な実務かつ企業の責任として位置づけられていた点が印象的でした。

また、単に要望を伝えるだけでは良いロビイングにならず、自社の投資や事業が米国経済や地域社会にどのような意味を持つのかを、相手に伝わる形で説明することの大切さも印象に残りました。授業ではこれを 「Narrative:物語」 と呼んでいましたが、単なる「ストーリー」ではなくて、自分たちの存在意義や貢献を、相手が理解しやすい形で筋道立てて示すことだと理解しました。これは政府だけに向けた話ではなく、メディアや地域社会も含めて、自分たちが何をもたらしているのかを継続的に伝えていく、という考え方です。政策提言も、単に政府に直接働きかけるだけで完結するものではなく、メディア対応、業界団体の活用、他社との連携、さらに地域の有力者や市民レベルでの支持形成まで含めた、幅広い戦略として捉えられていると理解できました。

DCでは至る所で桜が推されています

■米国市場における日本企業

プログラム中には、ジョージア州選出の上院議員とそのスタッフにお会いする機会もありました。これはジョージア州関係者向けイベントの一部として設けられたもので、議員本人の話を聞いた後、写真撮影や政策スタッフへの質問もできたのですが、こうした接点がオープンに設けられていることは、日本と異なる点であると感じました。

少し話は変わりますが、こうした接点も含め、講師や参加者とのやりとりを通じて感じたのは、日本を筆頭に一部のアジア諸国の対米投資や米国経済への貢献が、投資規模に見合うほどには、十分認識されていないのではないか、ということです。よって、先ほどの話に戻りますが、雇用、地域経済、産業基盤への貢献に関する発信を、行政のチャネル任せにせず、民間としても米国の行政や地域関係者にしっかり発信していくことの重要性を強く感じました。

なお、関税については各講義でかなりホットな話題として、やや批判的に取り上げられていましたが、個人的には、関税そのものについて報道以上の新たな発見があったというより、これはあくまで一つの政治的イベントにすぎず、その背後にある現政権の狙いや、それを支持する人々の背景を見極めることの方が建設的だ、との考えに改めて至りました。

特に日本企業に籍を置く身として重要だと感じたのは、自分たちがその市場に提供できる価値を過小評価せず、一方で米国経済や地域社会への貢献を、Narrativeを持って発信し続けることです。とても当たり前のことのように聞こえますが、これを米国の地で体感できたのは非常に大きかったと感じており、今回の経験はここでの学びにとどまらず、今後の自分のキャリアを通じて大きなテーマになる予感がしています。

CO 2027 TS

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2026年1月26日月曜日

気がつけば、CEOプレゼンだった話

■告知

当校のアドミッションが2/7(土)に来日し、東京で志願者および卒業生向けレセプションを開催します。奮ってご参加ください!詳細はこちらのブログ記事、登録はこちら

■本題

こんにちは。CO2027のTSです。年があけて1月から春学期が始まっています。今回は、皆様に学校の様子をお届けする目的で、コアタームの期末試験期間にカリキュラムの一環で実施されたケースコンペ、Growth Weekについて紹介します。

Growth Weekとは

Growth Weekは、実在企業を題材に、短期間で状況分析から成長機会の特定、財務インパクトの試算、実行プランの設計までを行い、トーナメント形式で競うケースコンペです。最終ラウンドまで勝ち進むと、当該企業のCEOに直接プレゼンを行います。

テーマと評価ポイント

今回のテーマはCoca-Cola Companyで、各チームが同社の成長につながるアイデアを10分のピッチと2〜3分のQ&Aで提案しました。

新製品やマーケティング、サプライチェーン、オペレーション改革、M&Aなどテーマ設定は自由ですが、共通して求められたのは、どこに成長余地があり、それが利益成長にどうつながるのかを、信頼できるデータと一貫したロジックで示すことでした。チームで議論し、筆者らは、米国ではまだ浸透していない血糖値に作用する飲料ブランドのM&Aをテーマとしました。

短期間でのチームワーク

準備期間は月曜のお題発表から金曜朝の初回ピッチまで。2回勝ち進むと翌週月曜に最終ラウンド(CEOプレゼン)という短期決戦です。期末試験とも並行するため、最大の制約は時間でした。今回は留学生4人(日本人2名、他国籍2名)のチームで、立ち上がりは比較的スムーズでした。スライドは分担しつつ、ミーティングは短く、その分タッチポイントを増やして認識ズレを早めに潰すなど、効率重視で進めました。

結果と各チームの提案

結果について、筆者チームは善戦し、金曜日のラウンドを2回勝ち抜いてファイナリスト4組に残ることができました。決勝では、筆者チーム以外からはコーラのサブスクリプションビジネス、既存ブランド(Fairlife:プロテイン飲料)を活用した新ターゲットへの拡販など、複数のアプローチが提案されました。

優勝したのは既存ブランドのFairlifeを軸にした提案で、派手さはないものの、既存事業との接続が明確で、実行可能性(feasibility)が高く評価されたのだと思います。実際、CEOからも「実効性の観点で頭一つ抜けていた」とのフィードバックがありました。

コカ・コーラ社CEOらと記念撮影

成熟企業における成長の考え方

今回の結果を通じて、CEOクラスが成長戦略を見る際、単に成長余地の大きさや新規性も然ることながら、「既存の収益基盤とどう接続し、どの確度で実行できるか」を重視している、という点を実感しました。CEOは実行上のリスクも引き受ける立場にあります。そのため、新興市場を狙うM&Aよりも、すでに稼いでいる既存事業と親和性の高い成長の方が、意思決定として合理的に映るのだと思います

米国といえばスピード感のある新規事業や斬新なアイデアにも積極投資、というイメージを持っていた私にとって、自分がこれまで働いてきた日本企業の意思決定の感覚と重なった点は意外でしたが、成熟したグローバル企業のトップであれば、自然な判断基準なのかもしれません。

個人的な収穫

決勝で敗れたものの、学年内の競争を勝ち抜き、観衆を前にグローバル企業のCEOに向けて提案する場まで進めたことは、教室では得難い経験でした。学業面にとどまらず、今後米国で生きていく上で大きな自信になったと感じています。

また、日本でキャリアを積んでいると当たり前に感じられるかもしれませんが、限られた時間で意思決定し、成果物に反映するという点で、成果から逆算した仕事の進め方と現実的なタイムマネジメントは大きな強みになり得るとも実感しました。まだ短い私のキャリアですが、これまで日本で培った力が米国でも評価されたように感じられたのは嬉しい点です。

教員の支援

最後に、アプリカントの皆さんにアピールできる点として、Emoryの協調的な雰囲気を強く感じた経験に触れて結びたいと思います。短期間にもかかわらず、教員が分析面の相談やプレゼンのチェックに、週末の夜まで時間を割いてくれた点は印象的でした。CEOが同席する場で「中途半端なものは出せない」という緊張感があったかも知れませんが、それ以上に、教える側が学生の成功を本気で願い、伴走してくれている姿勢が伝わってきました。

入学前から当校が「少人数で全体的に協調的、教員の支援が手厚い」とは聞いていましたが、今回の経験を通じて、それを実感できたことは個人的に大きな喜びでした。これまでの在校生と同様に、Emoryはどんな学校かと聞かれた際には、私も一層の自信をもって当校をアピールできると思います。

CO 2027 TS

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