「留学どこ行くの?」
「アトランタのエモリー大学というところだよ」
「アトランタ?ああ、オリンピックあったよね?アトランタ・オリンピック!」
「そうそう、20年前の1996年にね。男子サッカーの日本オリンピック代表がブラジルオリンピック代表に1-0で勝利したマイアミの奇跡は忘れられないよね!優勝候補だったブラジルにまさか勝つとはね。あの時の伊東のゴールは、日本人の誰もが目に焼きついているんじゃないかな!?それから陸上では、マイケルジョンソンが200mと400mで当時の世界新で金メダルを取ったよね。あとは柔道だと・・・」
「お、おおぉ。あの時のはアトランタオリンピックか。。。ほうほう、なるほど。それ以外に、アトランタっていうと何があるの?」
「いや~、そうだねぇぇ。。。」
エモリーをはじめ、アトランタに所在する大学への進学を考えている、若しくは将来アトランタに住むかもしれないと予感している皆さん。アトランタ・オリンピックについてはある程度知っているものの、アトランタという街そのものについての知識は不足しているしているのではないでしょうか?
日本人に馴染みがありそうでないアトランタ。そこには何があるのか。1年間アトランタに住んだ私の独自の視点と経験から、主要な観光スポットでありアトランタならではの場所をご紹介したいと思います。
・Olympic Park
この公園を取り巻く形で高いオフィスビルやホテルが立ち並ぶダウンタンがあり、後述の幾つかの観光地もあり、正にアトランタの中心地。オリンピックの記念碑やクーベルタンの銅像、世界各国の国旗が立っており、Olympic
Parkに相応しい趣があるものの、普段は大きな公園であり、住人の憩いの場となっている。一方、1年を通じて多くのイベントの会場にもなっており、その際には多くの人が集まり、周辺に出店が表れたりと賑わいに出会うこともある。独立記念日には、特設ステージが設けられ、歌手による歌や軍隊による吹奏楽等4時間以上にも及ぶ生演奏あり、その後に数千発の花火が打ち上げられ、大変盛り上げるイベントが開催されていた。アトランタは米国内の1地方都市ではあるが、オリンピックを開催できるだけの経済力と都市力を有し、20年経った今でも、その時の施設を有効活用できるだけの人口拡大と成長が続いている。日本の都市と簡単に比較は出来ないが、地方都市のあり方として学べるところはあるのかも知れない。因みに、オリンピック時のメイン会場は、MLBブレーブスの本拠地であるTurner’s Fieldの増設に活用されたとのことだ。そして、そのTurner’s
Fieldも今年のシーズン終了後改築予定である。
・Coca-Cola Museum
アトランタの中心地に所在し、アトランタ発祥(この点を知らない人もいるかも!?)のCoca-Cola社のお膝元だけあって、Coca-Cola社に関連したあらゆるものを展示した大規模な博物館。Coca-Colaの誕生の話から始まり、米国更には世界への展開の歴史、世界のボトラーの所在地図、実際の機械が展示・稼動している製造過程も見ることができ、更には、世界のCoca-ColaのCMの上映、世界のCoca-Cola社製品の試飲等、内容はとても充実している。飲料会社という域を超え、ブランド戦略・マーケティング戦略をどのように展開したか、Coca-Colaの真髄は何かというものを垣間見れることが出来る。驚きなのが、週末はいつも多くの人で混雑していることだ。多くのCoca-Colaグッズも買っているように見える。一企業の博物館にしてこれだけの人を集められるのは、やはりCoca-Colaのマーケティング戦略のなし得る業か。
・Georgia Aquarium
上記のCoca-Cola museumに隣に位置し、米国ナンバー1の大きな水槽を有する大規模な水族館。否、単なる水族館というよりもエンターテイメント化されていて訪問者を魅了するような施設となっている。熱帯地域や寒冷地域等、幾つかのコンセプトに基づいて海の生物が分類されて展示されており、それぞれに独自の観客を惹きつける仕掛けが設けられ、とても楽しめる場所だ。イルカショーや海の生物を主役としたアニメ映画も上映されており、正に海をコンセプトとした総合エンターテインメントパークと言える。内装の作りや上映されている映画を見ると分かるのだが、恐らくは、ディズニー社の協力・監修が加えられているように思われる(ディズニーイベントの紹介もされていたことがあった)。Georgia
PacificやHome Depoをはじめとしたアトランタを拠点とする大企業の提供を受け、各施設が作られており、季節毎のイベント内容の変更や、定期的な施設の増設・修復等もされており、観客を楽しませようという努力が見受けられる。
上述から、エンターテインメントの色が強いように思われる一方、水族館であることから、位置付けとすると学術的な施設であるようだ。前述のイルカショーを観た際に感じたこととして、イルカの生態や飼育方法等、とにかく説明が長く、イルカのショーと言える部分は全体の20%程度であったと思う。観客への説明を通して、イルカへの理解を深めて欲しいというものなのだろう。また、映画の上映の前には、海が汚れ多くの海洋生物が危険に晒されていること、リサイクルを進めるような映像も流れ、これらもエコを理解させる意図があるのであろう。更には、研究者のラボを見学出来たり、海の生物のクイズが点在したりと、知的好奇心を掻き立てるような仕組みも多くみられる。楽しむ中で学びもできるという、子供連れには最高の場所の一つであろう。
・CNN 本社&CNN Tour
上記のOlympic Parkの近くにあるCNNの本社の中を45分ほどで観覧できるツアー。社内の様子や報道に使われている最新技術の紹介、スタジオの外からの見学、CNN発のアプリの紹介等、CNNの中身を満遍なく見ることが出来る。愚直に政治・経済のニュースを流し続け、ニュース以外の番組もとても内容が充実している(世界中の国の現在の姿を、現地の庶民の目線から紹介するParts
Unknownや、米国内のメジャーではないが興味深い地域や活動を特集しているUnited Shades of Americaは個人的に面白いと思う)CNNの中身を垣間見れることができ、私個人としてはとても楽しかった。
米国は、日本と比較しテレビ媒体でのメディアはとても充実しており、CNNのようなニュース番組があることに羨ましさを感じてしまうのは私だけだろうか。番組数の多さも去ることながら、その内容の充実度が日本に比べ高いのではないか。CNNで言えば、目下進行中の大統領選挙の情報を毎日細かく報道している。トランプがどこでどのような発言をした、その発言を共和党支持者と民主党支持者、更にはトランプ支持者からもコメントを得つつ、彼らと討論をする。一つの事件に対しても、多くの識者からのコメントを聞けることが多く、更には過去の似た事件との対比もされるなど、事件の社会的な意義をどんどん深彫りするように番組が構成されている。日本ではコメンテーターとされた人(内容に応じ大きく変わらない)が差しさわりの無い発言をするのみで、討論を繰り広げるようなニュース番組は珍しいのではないか。勿論、討論ベースの番組はあるかも知れないが。インターネットを媒体とした番組や情報拡大が普及し、テレビの存在が危うくなっている日本とは異なり、米国にはテレビが持つ報道力を十分に生かした番組・テレビ局があるように思う。
・Stone Mountain Park
アトランタの東部にある巨大な1枚岩を中心とした公園。オーストラリアのエアーズロックのような大きな岩(花崗岩)がむき出しになっており、周囲は緑豊かな森で囲まれた自然溢れる公園である。岩の頂上へ行けるロープウェイも通じており、そこから見える雄大な自然は一見の価値があると思う。地平線の遥かかなたまで森が続く光景は、日本では見られないのではないだろうか。岩の壁面には、南北戦争時の南部の中心的人物である、連合国大統領であるJefferson
DavisとRobert Lee将軍、勇将Thomas Jacksonの3名が描かれており、南部Georgia州ならではという感じである。岩の麓には、小規模なテーマパークが存在するものの、市街地から距離が離れていることもあり、それほどの賑わいは無いという印象である。それでも季節ごとに応じたイベントを開催しており、前述の自然を見ることの出来る場所でもあることからも、観光客、特に日本からの訪問であれば、行く価値は高いと思う。
米国建国以前は、ネイティブの聖地であったとのことだ。良質な花崗岩がむき出しとなっていることは珍しく、米国となってからは、一部石切り場となっていた歴史もあり、現在岩の周りを巡る列車が走っているのだが、その途中に石切り場であった様子も見られる。岩の歴史と上述の壁画が彫られた歴史は、公園内の施設で上映されるドキュメントで知ることができ、更には、壁画にちなんだ南北戦争の歴史・経緯に関する詳細(南部における戦闘の状況、戦線の動向等、かなり細かな内容)な資料映像も上映されており、南北戦争の「風」を感じられる場所ではなかろうか。
さあ、如何でしたか?アトランタは、予想以上に見所満載でしょう!日本からの直行便もありますので、エモリーに関係ない人も是非アトランタに遊びに来てみては?
自然と都市が一体となった、住み心地のよい街、アトランタ。
Southern Hospitalityに溢れた、優しく温かい街、アトランタ。
(意外にも)美味しいレストラン多く、しかもリーズナブルな価格で楽しめる街、アトランタ。
アトランタよいとこ一度はおいで~♪
Buddha