米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2021年1月3日日曜日

リモート授業の実際と事例紹介-Multinational Firms & Strategy-

明けましておめでとうございます。Class of 2021HTです。

 

コロナで大変な状況の中、出願準備進められている受験生の皆様、お疲れ様です。

1Roundの〆切が迫っているなかで、年末年始もお忙しくされているかと思いますが、まずはご自身やご家族の健康が第一ですので、体調には十分に気を付けて頑張ってください。

 

 

また、先日開催したWebinarにご参加頂いた皆様、改めまして、ご参加ありがとうございました。少しでも参加者の皆様の受験プロセス準備のお手伝いになっていれば幸いです。

 

 

さて、Class of 2021MBA生活はセメスターで言うと、4分の3が終わり、残すところあと1セメスターのみとなってしまいました。留学前に卒業生から聞いていたことではありますが、本当にあっと言う間で驚いております。残り少なくなった留学生活ですが、昨年3月からリモート授業に移行したり、様々な学校内イベントが中止されたりと、渡米前に思い描いていたものとは違う形で日々を過ごしております。

今回は、そんなコロナ禍におけるリモート授業について、以前のブログでも少し触れておりますが、授業例も挙げてより詳細にまとめておきたいと思います。

 

 

・リモート授業の実際

 

Emory Universityはコロナ感染拡大以降、ハイブリッド形式で授業を提供しております。すなわち、リモートと対面の両方の形式を合わせた授業を展開しており、授業によって完全にリモートのものもあれば、クラスの半分は教室で授業に参加し、残り半分はリモートで参加(週2コマ授業の場合は日ごとに入れ替え(例:火曜日にリモート参加した人は、木曜日は教室から参加))という形式のものもあり、その違いは各授業の特性や教授の好みによるものだと思います。

 

 

リモートでの授業参加にはZOOMを利用することになります。授業参加者は基本的にはカメラON、マイクOFF、発言時のみマイクONが原則となっており、カメラOFFの場合は出席とみなされない授業もあります。その場合の授業中の発言はZOOMの挙手機能を利用することが原則になりますが、少人数授業や活発な議論に発展した際は、いきなりマイクONにして話すことも多くあります。当然その場合、同時に発言すると何を言っているか分からないので、教室授業と比較すると議論のライブ感は低下します。ただ、議論自体が少なくなったかというとそんなことは全く無く、むしろしっかりと双方の意見を言い合えるので、教授が時間を許してくれれば、深い議論がクラス全体でも少人数でもできたと思います。

 

 

完全にリモート授業の場合は、ZOOM参加に最適化されたフォーマットで授業も用意されているため、それなりに快適に授業を受けられたかなと思います。少人数での議論も、ZOOMBreakout room機能でスムーズに議論できましたし、MBA授業の名物(?)と言えるコールドコールも健在でした。

 

 

ただ、リモート授業だとどうしても対面授業から質の低下をいかに最小限に食い止めるかという観点での評価になってしまい、対面よりも良くなった、という点は挙げ辛いのが、実際です。ただそれでも、個人的には、「ゲストスピーカーの質の向上」はむしろ良かった点として挙げてもいいかなと思います。(相対的な問題でこれまでの質が低いということではないです)これまでは、ゲストをキャンパスに招いて、教室で話してもらう必要があったため、時間・場所の制約がありましたが、それがなくなり、場所を問わず、授業時間中だけスケジュールを抑えればいいので、恐らくかなり多忙だろうなという人もゲストとして招くことができており、また時間の割き方も全てQAセッションにしてくれる場合が多く、有意義でした。実際Boston Consulting Groupのパートナーや、現役のCEOとして多くの企業再生に携わってこられた方など豊富な経験を持った人たちに、様々な質問できる機会が持てました。

 

 

一方で、リモート授業になって質の低下という意味では、「対面とリモートが併存している授業の場合、リモート参加者が置いて行かれる(挙手に気付いてもらえない、教室内の発言が聞こえない、板書が見えない)場合がある」、「画面を見っぱなしなので日に3コマなど取っているとかなり疲れる」、「授業時間外でのミーティング時間を確保するのが少し面倒」があります。こういった細かいストレスが蓄積されて、セメスターの最後はかなり疲弊しましたが、総じて授業そのものの質は思ったより下がらなかった、というのが正直なところです。

 

 

以下では、実際にこの秋学期に受講した授業から一つ例を挙げてどういった形の授業だったのかをお伝えしたいと思います。

 

 

・授業における例―Multinational Firms & Strategy

 

 リモートと対面のハイブリッド授業でした。上記の通り、クラスの半分ほどは教室で教授と対面で授業を受け、残り半分はリモート参加する形式でしたが、この授業に関してはリモート参加者の方が多かったように思います。感染拡大状況を鑑みてずっとリモート参加にしている学生が多かったためだと思います。



クラスは教室内のカメラでZOOM上にも中継されており、リモート参加者は挙手機能でクラスに参加することになります。ビデオは常時ONにしておかないと出席扱いにならない上、ときにコールドコールも実施されるので、PCの前に座っていてもほどよい緊張感のある授業でした。ただ、学期を通じて音声が聞こえないなどのテクニカルな不具合が続発して授業開始が遅れたり、一時中断されたりするなどロジ面では少々不満は残りました。リモート参加者のサポート役として、Teaching Assistantがかなり労力を払ってくれたおかげで、印象はそこまで悪くないですが、こういったことが起こるリスクはやはりあるかと思います。(他の授業ではこうした不具合はほぼなかったので、何か特別な原因があったのかなと思いますが)



授業自体は、多国籍企業の採る戦略および今後の展望を、ケースを通じて分析するいわゆるMBA的な議論重視型の授業でした。ケース自体は最近のものも多く、教授がちゃんと授業内容をアップデートしているのだなという点で好感が持てました。それら企業個別のケースに加えて、国そのものを取り上げた重厚なケースも多く用意されており、韓国、中国、インド、南アフリカ、ブラジルなどが取り上げられました。それらについては、各国がどういった経緯をたどって現在の姿になったのかを政治・経済・教育・文化など多角的に分析し、今後どうなるのかの予想などを議論しました。授業中にはその国についてのドキュメンタリー映像も用意されており、この辺りは様々な国についての一般教養を学んでいるのに近い感覚で、MBAでこういったことを学ぶと思っていませんでしたが、今後頭の片隅に残しておくべき内容だったなと思います。残念ながら日本は国単独として取り上げられることはありませんでしたが、東アジアにおける急速な発展の一つのロールモデルとして、授業中に触れられることは多かったです。(一方で企業別のケースでは、某電気メーカーが失敗ケースとして取り上げられており、若干の居心地の悪さはありましたが)また、ケースに加えて、それに関連する膨大なデータに対して、コア科目として学んで以来となる重回帰分析を使って収益に影響する要素を見つけるなど、ソフトスキルに限らない学びもありました。



この授業のようなソフトスキル系の授業では、ケースを読んで各自準備→クラス内でのディスカッションという形式がほとんどなので、あまりリモートだからという理由での質の低下は無かったと感じました。対面であろうがなかろうが、授業前にどれだけケースを読み込んで、議論のポイントとなる点について準備しているかということが重要だと思います。個人的には、リモート参加の方が、教室内で挙手するよりも心理的な抵抗が少ないと感じたので、むしろより積極的に参加できたかなと思います。

 

 

他にも4つの授業を全てリモートで受けましたが、使える機能をうまく使ってなるべく教育の質を維持しようとする姿勢はどの授業・教授からも感じられました。そのため、リモート授業になったせいで学習の質が落ちてしまう、ということを過度に心配する必要はないかなと思います。ただ、MBAといえども人生最後の学生生活を送る貴重な期間になりますので、実際にキャンパスでクラスメイトと時間を過ごせるのが一番だとも思いますし、私がここで書いた感想も、1年目の大部分をキャンパスで過ごした基礎があるからこそ、現状をある程度前向きに捉えられているのかなと思う部分もあります。足下の状況からはまだ何とも言えないですが、現在受験中の皆様が入学してから、もしリモートで授業に参加することがあった場合に、このブログの内容が具体的なイメージを持っていただく際の参考になれば幸いです。

 

 

受験準備も佳境に差し掛かっていると思いますが、何かご質問がありましたらどんなことでも構いませんので、以下の宛先までご連絡ください。在校生一同できる限りサポートさせて頂きたいと思っております。

 

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