米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2013年2月20日水曜日

Catalyzing Social Impactについて


 1年生のTです。今回は、1年生春学期の必修選択科目の一つであり、現在履修中の"Catalyzing Social Impact"という授業 について紹介させていただきたいと思います。



まず授業の概要ですが、
 
  ●企業・団体が実際に抱える課題・問題に対して具体的提言を行うことがゴール。
  (その点では、Goizuetaの看板授業であるGMSCに類似。)

 ●対象企業・団体は、社会的貢献をその設立趣旨に置いている。
  (この点がGMSCの対象との違い。)

 ●利益改善のみならず、如何に世の中にインパクトを与えるかについての提言をチームメンバーと共に行う

 そして、この授業形式ですが、全く言っていいほど学生に丸投げです。。。4ページのシラバス以外授業中に配られたことがないです。(GMSCの授業では、ファイル一式が初日に配られてました。。。) と言いますのも、利益という数字で測れる指標がある一方で、社会的貢献には数値で測れる答えがないからです(正確には「だと思います。」)。そのため、最初、授業に出たとき、「何これ?教授の手抜きじゃん…」と正直思いました。なぜなら、対象企業・団体決定後は、「必要な助けはする。情報も全て与える。だけど、自分たちで課題を決めて、手順を決めて好きに進めてくれ」と丸投げ的に言われるわけですから…

 しかし、実際に作業を進めると身をもって学ぶことばかりです。課題設定に始まり、作業行程、調査手法と、そもそも何をどのようにするかという議論から始まり、そしてその為には、どこの誰に何を聞きに行くのかと。また、何をどのように調べるのか等々、手探りの段階から始まり、挑戦、失敗、そしてまた議論と。本当に一から自分達で考えて進めています。(その他授業の比較として、例えば、GMSCの進め方等の詳細はこちらのリンクをご参考ください。http://goizueta-japan.blogspot.com/2013/02/gmsc.html) 
 
 また、授業形式も、これが公式、理論といった解説を受ける受動的な授業ではなく、担当教授が生徒と共に議論をして方向性、ゴールを見つける形になっています。その為、時には学生と教授の考えが対立することもあります。ただし、最終決定は学生が持っており、最後は学生達で決めています。その点から、個人的な感想として、学生の自主性が尊重され、積極的姿勢の結果としての失敗が許されていると感じることもあります。(決して失敗良しという意味ではなく、失敗を通して学べという視点です。)このような経験は、今後、自らが意思決定者となり、答えなき問題に取組む時に必要とされる力を養ってくれるのではないかと感じています。


 さて、現在の履修学生ですが、合計9名という少数で、私は唯一の留学生になっています。(この人数で授業が成り立つのはスモールスクールの強みだと思います。)しかし、個人的には留学生も大きく活躍できる授業と思っています。と言いますのも、上にも書きましたが唯一無二の答えがないからです。すなわち、日本社会で学んだこと、日本社会の実例が十分に参考になりうるのです。まさにアメリカ人と対等の立場で議論ができる授業なのではないかと感じています。例えば、「日本では、こういう活動があり、こういう実績がある。」と言うと、アメリカ人たちは大変興味を持ってさらに聞いてきます。唯一無二の答えがないからこそ、様々なところからアイデアを学ぼうという姿勢が大変重要になるのではないでしょうか。

 また、履修学生の多くが、非営利、公共団体での職歴を持っています。彼らは、高額な学費を払ってる一方で、卒業後の給与上昇がそれほど期待できない(と言われる)業界で引き続き働こういう学生たちですから、意識が相当高いです。(ビジネススクールという高額な学費の投資に足して、やはりそれなりの給与というバックが欲しいものだと思います。) そのため、授業にもその意気込みが表れてきます。また、学習意識がビジネスのみならず多分野にも及んでいる学生が多いです。参考までに、現在のチームメイトは、JD(法学博士)/MBADual Degree在学、MPH(公衆衛生修士)/MBADual Degree在学、現役軍人と皆がビジネスのみならず多分野においても強みを持つ人間です。その為、分野を超えた議論の広がりがとても楽しいです

 そんな仲間たちに囲まれてのこの授業、彼らも私に大きな貢献を求めてくるため、正直負担は大変重いです…(実際に、個人作業として最低週6時間という明確なノルマがあります。そして、さらにチームミーティングが週に2、3回と。気づけば12時間もミーティングしてたってことも。。。)しかし、実社会に戻れば、プロジェクトを進めるにあたって、そもそも講義などなく、自ら考え自ら課題を決めて始めることが当然になると思います。さらには、将来的には自らが最終決定を行う地位に就く可能性も高いわけですから。その点では、与えられた課題を一つずつこなしていく授業では学べないことを学べる貴重な授業なのではないかと思っております。

  長くなりましたが、この授業を通して現在感じていることは、ビジネススクールの2年間は、職務に戻るとできないような挑戦&失敗を多数させてくれる貴重な時間なのではないかと改めて思っています。そして、とことん貪欲に、ビジネスのみならず、多分野に挑んで行ってやろうと気持ちが高まる場ではないかと思っています。そして、それを受け入れてくれる環境が、Goizuetaにはあります。

2013年2月15日金曜日

課外活動について

こんにちは、Class of 2014のKeitaです。前回の終わりに次回は遊びのことを書くと宣言したものの、今回は課外活動について少し真面目に書きたいと思います。


近頃はたくさんのアプリカントの方々にビジットやお問い合わせを頂きまして大変有難い限りです。是非これからビジットに来られる方、ご検討中の方は、日本人向けHP過去のブログポストもご参照ください。こちらのポストも臨場感があります


ビジットなどで頂くご質問の内容としては、プログラムそれ自体の内容(例えば、GMSCマーケティングファイナンスなど)については当然のこととして、ご家族でおいでになられる方も多いですから、生活環境に関する内容も多数ございます。例えば、Tedの前回の投稿はアトランタがいかに(奥さまを中心に)住みよいかという内容ですし、旦那さま方などにはお手頃なゴルフコースが近郊にたくさんあります。ある日本人学生は嘘か誠か週に数回もプレーしているとか……。本当だとすればうらやましい限りです。


さて、プログラム内容、生活環境に加えてよくご質問頂くのが課外活動についてです。特にクラブ活動についてご質問頂くのですが、どんなクラブがあるのでしょうか?という方は是非こちらのリンクをご覧ください。たくさんのクラブがありますので、興味のあるクラブを何個も見つけて頂けると思います。


例えば、Class of 2013(2年生)のTatsuが代表を務めているInternational Business Associationでは、International Potluckという各国の文化や食事を紹介するイベントを開催しています。昨秋の様子はこちら


私もいくつかのクラブに入っていますが、どちらかと言うとクラブ活動よりもその他の課外活動を行って来ました。特に力を入れて行ったのは、日本人向けウェブサイトの刷新(当ブログの左上バナーからご覧頂けます)とジャパントリップの企画です(こちらは現在進行形)。


前者のウェブ刷新についてはこちらのブログポストに簡単に記した通りですが、受験シーズンに備え、特にアプリカントの皆さまを中心にゴイズエタのことをよく知って頂こうと情熱を込めて作りました。少しはゴイズエタの理解にお役に立っているならこれ以上に嬉しいことはありません。弊校アドミッションも訪日の際には、同サイトの紹介をかなり熱心にしていたと伺い寝る間も惜しんで作った甲斐がありました。


また、同作業の際には、ゴイズエタのアドミッション、ITとかなり密にコミュニケーションを取り完成に漕ぎつけました。更には後日談を聞く限り、他言語で同じようなコミュニケーションサイトが無いため、日本語サイトの内容を英語に逆翻訳したり、韓国語や中国語に出来ないか、というのも検討しているようです。


後者のジャパントリップについては、実際にはこれから同級生を日本に連れていくことになるのですが、日本での最高の経験をしてもらうべく日夜頭を悩ませております。その中では、日程も近づいてきましたが、ギリギリまで粘って良いものを作り上げたいと思います。その中では、ジャパントリップ引率の教授とゴイズエタのスタッフ(アドミッションやアラムナイオフィス)と連携してアラムナイパーティなども企画しています。


以上、毎度取りとめなく書いていますが……


何を伝えたいかと言えば、「ゴイズエタではクラブ以外にも色々な活動を自分次第で見つけられる」「クラブ活動のみならず、コミュニティへの貢献の仕方はいくらでもある!」ということです。そして、「ゴイズエタにはスモールスクールとして学生のこういった課外活動を支えるオープンでタイトな環境がある!」ということも是非お伝えしたいと思います!


さ、次回こそは浮かれた遊びの話を書かせてもらいたいと思います…。

2013年2月8日金曜日

奥様たちの時間

たくさんの方にキャンパスビジットに来ていただき、ご機嫌のClass of 2014 TEDです。在校生13名で対応させていただきますので、気軽にご一報くださいね。また、申し込み方法などは過去のポストもぜひ参考にしてください。


さて、ビジットされた方が良くおっしゃるのが、「自分だけでなくご家族が楽しい2年間を過ごせる環境なのかが最後の最後で重要に感じてきた」、ということです。そのとおりです!私の場合は妻(子供なし)のため、私が学校に行っている間に妻が充実した生活をできるかどうか、ということも重要な判断基準となっていました。

ということで、今回はアトランタの奥様たちの優雅な生活の一コマを覗いてみたいと思います。



英会話スクール(ESL)での楽しい勉強

Wieuca Road Baptist Church

アメリカにいるんだから英語を勉強したい!というのは自然ですよね。アトランタには多くの団体が高品質なESLコースを無料で提供しています。

うちの妻の場合は、月曜日から木曜日まで近所の教会をはしごして通っています。教会で日本人の知り合いが増えるのもモチベーションになっているようです。なお、月曜日の教会はディナーが無料で出るため、私は一人で家で食事することとなります(笑)

なお、有料になりますが、近所にあるジョージア工科大学は高品質なESLプログラムで有名です。毎日授業があるため少し大変ですが、本気で勉強したい方にはおススメです。実は、私も今学期は午前はジョージア工科大学で英語のクラス、午後と夜にエモリーでMBAという生活をしています。


授業が終わったらカフェの時間

JoliKobe
ご想像のとおり、奥様たちは授業のあとには教会の友だちとお茶をしたりなんだかんだで、なかなか帰ってきません(笑)。

アトランタには日本人パティシエのいるケーキ屋さんが何軒かあり、日本と同じようなケーキが食べられます。アメリカのケーキは基本的に激マズ(砂糖過多のバタークリームの塊)で、多くの留学生が文句を言っていますが、日本人が経営している「Jolikobe」のケーキは非常に美味しく、パーティのお土産にも喜ばれます。



休日はやっぱりショッピング(ま、休日以外にも買ってると思うけど。。。)

Lenox Square
アトランタは大都市の割に、生活費は全米平均以下らしいです。食料品は日本とほぼ同じですが、服はとにかく安い。とくにアメリカブランドは激安です。

車で10分くらいのところにある「Lenox Square」は各種ブランドを取りそろえていて、オシャレな服を買うときに重宝します。家具、食器、靴などなんでもそろいますね。

ちょっと郊外に足をのばすと「North Georgia Premium Outlet(日本語サイト)」という巨大アウトレットモールがあります。日本にからアメリカに旅行するときに必死に買い物するような場所が、すぐ近所にあるのはうれしいことですね。


アメリカにいても髪型はこだわりたい
Junko Hari Studio

みたいです。
というか、アメリカの床屋はアジア人の固い髪の毛の切り方を知らないので、女性の場合コケシのような髪型にされます(男性の場合はルパン三世になります)。
うちの妻の場合は、六本木で美容師をしていた女性が経営している「Ciel Hair Designs」という美容院に行っています。私もルパン三世はもう勘弁なので、「Junko」という日本人経営の美容室に落ち着きました。


日本でできない趣味を増やしたい


Stonemountain
アトランタは自然もたくさんあるので、キャンプやハイキングが簡単にできます。少し前に、なぜか日本人学生の間で「アウトレットで登山靴を買う」ブームがあって、せっかくだから買った靴を使おうとしているわけです。

先日は、車で30分ほどの「Stonemountain」のトレイルに行ってきました。10マイル弱あって意外と疲れましたが、大自然のおかげで日頃の勉強の疲れが癒されました。


また、ケーキ作りや、パッチワークなどの教室もたくさんあります。エモリー大学も生涯教育プログラムを提供していて、家族に限らず近所の人もたくさん受講しています。友だちの韓国人の奥様はイタリア料理とカメラの講座を受講しているようです。


書けば書くほど、奥様たちの優雅な生活がうらやましくて仕方ないので、この辺で止めることにします。


いろいろと書きましたが、要するに、家族で渡米される方にはアトランタは非常におススメということです。留学は自分だけでなく、ご家族にとっても大きなイベントです。また、なれない土地での生活は大きな負担にもなりえます。

ご家族あっての充実したゴイズエタ生活です。ぜひぜひご家族にもこの記事を見せてあげてくださいね。



(番外編)男共の時間~アメリカでもこってりしたい~

アトランタにはとんこつラーメンがあります。

Umaido


Class of 2014 TED




2013年2月3日日曜日

GMSCに関して

こんにちは、class of 2014Rockyです。
アトランタに来て、7ヶ月。早いもので2013年ももう2月です。アトランタの冬は、日本(特に東京)の冬よりも温暖ですが、それでもダウンジャケットやマフラーは必須アイテムです。

受験生の皆さんは、出願を終えて面接の練習をしている方、ビジットの計画を立てている方、テストスコアの向上に向けてさらなる努力をされている方、すでに志望校に合格された方、さまざまかと存じます。私のちょうど1年前は、ビジットの真っ最中でして、まさにエモリー大学に来ておりました。海外での生活をしたことがなかった私にとって、新しいことの連続でした。クラスビジットで英語がちんぷんかんぷんだったこと(今も??)、アメリカの大学ってこんなに広くてきれいなのかと驚いたこと、アプリカント一人のためにこんなに多くの在校生が動いてくれるのかと感激したこと、夜ご飯にステーキハウスにつれていただきましたがその大きさに度肝を抜かれたこと・・などなど鮮明に記憶に残っております。おかげ様で、本年度も多くの方々にビジットに来ていただき、アプリカントの皆さんとお話させていただく機会も多々ありますが、その度に1年前のことを懐かしく思い出しているこの頃です。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は、今セメスターで私が履修しているGMSCに関して、書きたいと思います。20121227日のTedの投稿(http://goizueta-japan.blogspot.com/2012/12/blog-post.html)でGMSCMP Electiveの一つで、企業へのコンサルティングを4ヶ月間通して行う授業だということは、皆さんも理解されていることと存じます。まだ始まって1ヶ月弱ですので、さわりの部分しか触れておりませんが、「GMSCでどのようなプロジェクトに関わるのか、実際にどんなことを行うのか」に関して掲載させていただきます。

■プロジェクト
まず201211月に今セメスター(2013年春セメスター)の履修登録がありました。事前に、GMSCを取ろうと思っている学生向けに説明会がありまして、その説明会で今年のスポンサー企業ならびに各企業から与えられる課題(この課題を1チーム7-8名で4ヶ月間取り組む)のプレゼンがありました。例年通り6企業(企業は毎年変わりますが、主にアトランタを拠点にしている企業(情報通信、消費財、サービス等)を中心に世界的に活躍している大企業からアーリーステージのベンチャー企業までさまざま)がスポンサーとなっています。

私がアサインされているプロジェクトは、あるボトリングカンパニーが展開しているプレミアムヘルシードリンク&フードのマーケティング戦略です。

「ヘルシー思考が高まる中でいかに的確にターゲット顧客へのアプローチを行うか、その上でマーケットリーダーの座を維持していくための具体的なプランの提案」

です。

他には、「ある洋菓子メーカーの中国進出の可能性」「豪華客船を運営する企業の新ルート開拓」「あるホテルチェーンが展開している中間層向けブランドのマーケティング」「大手情報通信企業の顧客満足度アップのためのブランド戦略」などがあります。

■授業、プロジェクトの流れ


授業は、毎週月、火、木の三回行われ、月曜日は、主に講義。コンサルティング会社からの講師やゴイズエタの教授、ゲストスピーカー(実際に過去にGMSCでスポンサーになった企業)が交代でプロジェクトに必要な知識やケーススタディを学びます。その流れは、上記の図に示す16の通りです。各パートで何を行い、どういうスキルが要求され、アウトプットに必要な要素を各分野の専門家からレクチャー形式で学びます。専門用語をたくさん使っていますが、すべて検索していただけば出てくる言葉ばかりです。

1.Define problem: 課題を分析、キークエスチョンを決める(要は、アウトプットでクライアントが何を求めているのかを簡潔に一文で表す)
2.Structure project: キークエスチョンから始めて、イシューツリーを作成
3.Research and Collect Data: 問題点を洗い出したら、その問題を解決するためのデータ集め(セカンダリーリサーチ、各チームに一人ずつ図書館でデータ分析の手伝いをしているライブラリアンがつき、情報提供等をしてくれる)、クライアント・取引先・最終ユーザーへのインタビュー(プライマリーリサーチ、実地調査・オンラインアンケート等)
4.Analyze Data and Synthesize Insights: 集めたデータやコメントなどからキークエスチョンを解決するような説得材料(グラフ、表など)を作成
5.Develop Recommendation: プレゼン資料の作成
6.Communication Recommendation: プレゼン、クライアントからのフィードバック、議論

火曜日と木曜日に関しては、マーケティングやストラテジー分野の教授とチーム別に進捗状況の説明、アドバイスなどももらいます。その他、クライアントとの週1回の電話会議、チームミーティングなどをこなしています。

以上がざっくりしたGMSCに関してです。次に私がこのブログを担当する頃には、プロジェクトも終焉を迎えていると思いますので、感じたことをまた書かせていただきたいと思います。

Rocky