米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2020年3月30日月曜日

Fintech in Atlanta

受験生の皆様こんにちは。Class of 2020のShunjiです。

我々class of 2020はあと1ヶ月強でついに卒業ですが、前回のKeiさんのブログ(こちら)にも記載があった通り、今学期の残りの授業はすべてオンラインとなっており、かつ、アトランタは自宅待機命令の真っ只中ですので、なんとも落ち着かない日々を過ごしています。

さて、今日は AtlantaとFintechという切り口でお話したいと思います。

日本に居ると普段「アトランタ」という地名を目にしたり耳にしたりすることはあまりないかと思いますし、96年のアトランタオリンピックから情報がストップしている方も多いかと思いますが、、、実はアトランタはこの10年くらいでアメリカにおけるFintechの中心としての地位を確立しています。

その根拠となるような数字はというと、以下のようなものがあげられます。

  • The top 50 Georgia-based FinTech companies generate annual revenue of more than $72 billion. 
  • Of all the payment transactions taking place each day across America, more than 70 percent are processed by companies in Atlanta and around Georgia. 
  • More than 30,000 professionals in Georgia (and over 130,000 globally) are employed by Georgia-based FinTech firms. 
  • These companies process over 118 billion transactions (over $2 trillion) per year supporting nearly 4 million merchants.  

どうですか。ご存知でしたでしょうか。 


こうした事実の背景にあるのは①安いliving cost、②Georgia Tech Instituteや我らがEmory University等から輩出される優秀な人材、③アトランタがアメリカNo.1の航空会社であるDeltaのハブ空港であること、等といわれています。

 また上述のなかで注目すべきは、アメリカ全土で毎日行われているすべての支払い取引のうち、70%以上がアトランタとジョージア州周辺の企業によって処理されている点ですが、この事実が、アトランタが世界でTransaction Alley(≒データ処理の中心地)と呼ばれる所以となっています。 

こうした環境の中、Emory にもFintechに特化した授業(その名も”Special Topics: Fin Tech”)があります。金融機関にお勤めの方や、テック系のバックグラウンドをお持ちの方にとっては、かなり関心の強いトピックかと思います。 

授業の内容はというと、ブロックチェーン、仮想通貨、トークン、クラウドファンディング、レンディング、AIなどいわゆるFintechと呼ばれるようなものを薄く広く学びます。私は今セメスターで履修していますが、体系だって学んだことはなかったので、その意味では取ってよかったと思っています。 

また、授業の一環として教授がアトランタに拠点を置く大手Fintech companyのFounderらを授業に招き、ゲストスピーカーとして登壇してもらう機会があります。これまでに登壇してくれた中の1社であるKabbage(Founder/ Mr. Rob Frohwein)の概要を以下の通り紹介します。(私が聞き取れた内容なので多少間違っているかもしれませんがその点ご容赦ください・・)


Kabbage

2009年創業。20017年にSoftbank等から2億5000万ドルしたほか、累計では$4.2B以上を調達。同社は種々のデータに基づいた信用情報を使って小規模事業者や個人に少額の資金を自動で貸し出すプラットフォームを運営している。例えば、Amazonに出店している中小の小売事業者(ユーザー)がKabbageから融資を受ける場合、Kabbageに(Amazon内の)自社のMarketplaceのアカウントを預けると、過去の取引履歴から返済能力を判断してもらうことが可能。また、Kabbageはそれらの取引データを元に融資の可否や金利の設定を行っているほか、近い将来のCash shortをアラートするサービスも持つ。 

そもそもネットショップは担保となり得る土地その他アセットを持たず、オンライン上の店舗のみで商売を行い、なおかつ在庫を多く抱える傾向にあるので従来の銀行の基準では融資を受けにくかったはずにて、同社は中小企業の成長に大きく貢献しているといえるでしょう。 

こうした最先端のFintechサービスを持つ企業のトップから直接話を聞く機会があるということ、同級生の中にもこういった業界出身者がおり、生の意見が聞けること、あるいは夏のインターン先になり得ることというのはEmoryの大きな魅力の一つではないでしょうか。

以上、インタビューやエッセイ等に向けて多少参考になればと思い今回はこのトピックでご紹介させて頂きました。この件に限らず、学校のプログラム、出願やキャンパスビジットにあたり、ご不明な点がありましたら、以下にご連絡ください。

goizueta_jp_student@googlegroups.com
↑上記の@マークを、小文字の@にご変更ください。

2020年3月20日金曜日

Goizuetaにおけるリーダーシップ

こんにちは、class of 2020のKeiです。
皆様、新型コロナが話題を席巻する中、いかがお過ごしでしょうか。
エモリーの隣には日本のニュースでもよく聞くCDC(疫病研究機関)があり、先日トランプ大統領も訪問されたようです。エモリーでも春学期残りの授業全てオンライン、かつ、通常の卒業式は中止、となってしまい、残り2カ月あったはずののMBA生活が、なんだかもう終わってしまったような感じがしております。何はともあれ、健康は大切なので、健康には注意して過ごしたいものです。


さて、今回は、Goizuetaにおけるリーダーシップを学ぶ機会について、説明したいと思います。

似たような内容について、ShigeさんのLeadership Courseについて、という以前のブログがあるのですが、アップデートがありますので、そちらを適宜参照しつつ説明していきたいと思います。


まず、現在、GoisuetaにはLeadership Certificate(詳細はこちらのEmory website)があります。ある要件を満たすとCertificateを取得できます。要件は、主に以下のように、①授業、②体験型プログラム、③エッセイ、から成ります。Certificateを取得する流れの中で、リーダーシップに関する基礎的な知識を①授業で学び、それを②体験型プログラムを通して実践し、③エッセイを通して反省するという中で包括的にリーダーシップについて学ぶことができる仕組みになっています。



①授業と③エッセイについてはまぁいいかなと思うので、本稿では②体験型プログラムについて詳細を説明いたします。ただ、念のため、授業について触れると、Advanced Leadership の授業は、ジェネラル Keenという軍隊上がりの教授がレクチャーをしてくれます。Wikipediaの記載がかっこいいです。ハイチの地震の際に陣頭指揮を執った方で、それらの経験を踏まえてレクチャーをしてくれるので、非常に迫力があります。


②の体験型プログラムについては、以下の四つがあり、このうち二つの取得が必須です。

・Leader's Reaction Course (LRC)
・Leadership Coaching Fellow (LCF)
Goisueta Advanced Leadership Academy (GALA)
・Impact Coaching Fellow (ICF)

私は、後半二つのGALA, ICFを行いましたのでこれらについて説明します。なお、LRCとLCFについては、Shigeさんのページに記載がありますので、そちらをご参照ください。


ICFについて
まず、Goisuetaでは、1年生の春学期にImapct 360というHands-onプログラムがあります。こちらこちらのブログに説明があります。ICFは、このプログラムに参加しているチームのコーチングを行うというものです。この辺はShigeさんのLCFというコアチームへのコーチングと似たところがあります。

個人的には、このプログラムの特長は、セメスターを通して、我々にもプロフェッショナルコーチなるものがつく事です。私の場合は、Emoryでモチベーションについて研究している心理学の先生が私のコーチをしてくれています。 実際に打ち合わせに参加して、私の発言を評価してくれ、「次のフェーズで効率的にチームが動くために今必要なことは何か」「チーム員の学びを最大にするための質問は何だと思うか」など、実際に私に対してコーチングを行いつつ、私のコーチングスキルを高めてくれます。こういったプロフェッショナルな人にある一定期間を通してアドバイスをもらえるというのは、Emoryならでは、本プログラムならではの良さだと思います。MBA卒業後は部下を持つ方も多いかと思いますが、その際の接し方においても、非常に参考になるかと思います。

GALAについて
GALAは、2月末から3月上旬にかけてあるMid Semester Module (MSM)というものの中の一環として選択可能です。動画はこちら。MSMについては、国内MSM、海外MSMなどがあり、こちらこちらのブログに詳細があります。いわゆるJapan TreckもこのMSMの一環です。

GALAは、決められたチームでヨットに乗り込み、1週間セーリング(風の力で動くやつ、エンジンなし)で航海しながら、リーダーシップを養うというプログラムです。説明が難しいので以下箇条書きに特徴を述べます。


  • エッセイなどで事前に選抜された約20人が参加し、5-6人を1チームとし、4つのヨットに割り振られます。
  • プログラム前、およそ1カ月かけてチームビルディングを行います。
  • プログラム中は、毎日課題が出題され、4つのヨット間で競い合います。
  • 課題の内容はGoizuetaとのNDA契約のため、ここでは公開できません。笑。ただ、しっかり練られた課題でcomfotable zoneから抜け出すには十分なものです。
  • その課題を解決するにあたっての試行錯誤やチーム内トラブルなどを通して、リーダーシップを学びます。
  • 一日の流れとしては、6時半頃朝食、8-15時が課題、15-17時がアクションレビュー(反省)、その後、晩御飯、と同時に次の日の課題が出題され、夜の間に作戦会議、就寝という流れです。
  • ワンピースのように、船長、操縦士、航海士、エンジニア、コック、という役職があり、毎日異なる仕事を行います。なお、コックがいることからわかるように、ご飯はすべてヨットの中で作ります。夜は錨を下ろして船で寝ます。僕は気持ちよかったので、ヨットのデッキの上で星を見ながら寝ました。
  • 場所はカリブ海なので温かいし海もとてもきれいです。
  • ヨットには、学生のほかに、リーダーシップの授業を執り行う教授が1名が配置され、些細な行動などをチェックしています。その日のアクションレビューの場で、「なぜこの場でこういう行動をしたのか」など、振り返りを助けてくれます。各艇1人教授がつくことからもエモリーが本プログラムに力を入れていることがわかるかと思います。

雑多ですが、イメージはつきましたでしょうか…。

ヨットの上で起こる問題はとても些細なことなのですが、アクションレビューでは、それを実ビジネスの世界に展開して議論しました。その類似性の多さに少し感心しました。(ヨットでもビジネスでも、風向きが変わると計画を立て直さなければなりませんし、遠くを見すぎていると自分の居場所を文字通り見失ったりします)。リーダーシップとして学んだことは、ビジョンの共有などとてもシンプルなことなのですが、PDCAを毎日回した濃縮された一週間の中での実体験だったので、学びは非常に大きかったように思います。

また、未だにドメスティックな私にとっては、アメリカ人と一週間寝食を共にするというだけでも非常にout of confortable zoneだったので、そういうところに飛び込む度胸はついたかなと思います。また、そんなアメリカ人とも最終的には何でも言い合える仲になれ、非常に貴重な友人を作ることもできました。個人的には、こういったプログラムの類の中で、Goizuetaの中で一番充実感のあったプログラムでした。なお、こういったプログラムは他校にはないとのことなので、興味がある方はぜひGoizuetaに来て、参加していただけると嬉しいです。


以上が、Leadership Certificateについての簡単な説明と、その中の体験型プログラムであるICFとGALAの説明になります。

GBSについてご質問やご相談等がございましたら、お気軽に以下のアドレスへご連絡下さい。
goizueta_jp_studentgooglegroups.com
↑上記の@マークを、小文字の@にご変更ください。




2020年3月5日木曜日

進学先選びとEmoryの魅力について

受験生の皆様こんにちは、Class of 2021のKTです。

3月に入ると受験もいよいよ佳境に差し掛かり、ラストの追い込みで大変な時期かと存じます。そんな受験時期真っ只中ということで、今回は非常に個人的な話となり恐縮ですが、なぜ私がEmoryに進学することを決意したのかについて、合格体験記には書ききれていないような話をご紹介できればと思います。

EmoryはこれからRound 4(Application Deadline: 3/13)が控えていますので、この記事を読んで少しでもEmoryへの理解が深まり、Emoryへの出願を検討頂ければ幸甚です。
(全て私個人の見解ですので、その点はご容赦下さい)


簡単な私のバックグラウンド
  • 国立文系卒 純ドメ(1ヶ月のイギリス語学研修と1年間のドイツ駐在経験あり)
  • 34歳(入学時)
  • 総合電機メーカ(エネルギー関係の見積/契約審査部門)からの社費派遣
  • 妻+受験期間に誕生した息子1人 と帯同
私の場合は社費派遣ということもあり派遣元からのRequirement(主要格付け機関のTop20)がありましたので、米国のみならず欧州、アジアやMid career向けMBAも受験していました。実際、欧州とシンガポールそしてEmoryに面接時キャンパスビジットし、各校を比較した上で進学先を決定しました。

Emoryに決めた理由

家族環境や治安
まず家族環境については、私の場合0歳児帯同ということで重要な要素の一つでした。Emoryのキャンパスはダウンタウンから車で15分ほどしか離れていないにも関わらず、非常に落ち着いており、家族含め非常に住みやすい環境であると思います。家の近くにはEmoryの無料バスも走っており、保育園、買い物、レストラン、語学学校、病院、美容院等も充実していますので、安心して住むことができます。一方で、アトランタ自体は人口500万を超える大都市ですので、スポーツ、コンサート等多くのイベントも開催され、休日も家族と楽しく過ごすことができています。直近でも、3/1に開催されたアトランタマラソンのハーフの部にクラスメイトと共に参加し、久々に良い汗をかくことが出来ました。ちなみにアトランタマラソンは非常にアップダウンの多いコースですので記録を目指すには向いていませんが、非日常的な環境下で市内を走り回ることができ最高の経験となりました。

Academic(カリキュラム、期間、スモールスクール)
次にAcademic要素ですが、私は2年制でスモールスクールを希望していましたので、Emoryはまさにピッタリでした。実際に入学してみて、学生間の距離は非常に近いですし、教授とコーヒー飲みながら個別にレクチャーを受けることができたりと、非常に濃い生活を送ることが出来ています。希望をすればDirected Studyという教授との自由研究で単位をもらえる制度もあります。プログラムの内容に関しては、選択する科目にもよりますが、レクチャーとケースの比率が60:40程度で、個人的にはバランスのとれたプログラムかなと感じています。また、Emoryには2年制Full-time MBA以外にも、1年制Full-time MBA、Evening MBA、Executive MBAと多様なコースが用意されていますので、ご興味のある方は公式ホームページ等でチェックされて下さい。

School cultureやフィット感
3つ目にSchool cultureについてですが、この点に関しては非常に掴みづらく自身にフィットしているかどうか分かりづらいかと思います。ただ私の場合、受験期に多くのEmory Alumniや在校生の方とお会いし、Collaborativeな雰囲気を感じ取ることが出来たかなと思っています。他の多くのスクールでもCollaborativeなcultureを売りにしていると思いますが、Emory cultureの特徴の一つとしては「communityを非常に大切にする文化」が根付いている点だと感じています。一例として、"Emory Cares"というイベントが挙げられます。これは、毎年11月の土曜日にEmoryのAlumniが中心となり、世界中でゴミ拾いや植林といった社会奉仕活動を行うイベントです。2019年には全米73都市、世界13カ国で同時に開催され、1,600人以上の卒業生や大学関係者が参加しました。日本でも、卒業生の方々が中心となり、恒例イベントとなっているようで、卒業後には私もぜひ参加したいと考えています。

英語力向上
私がEmoryを選んだ理由の4つ目は英語力の向上でした。これはEmory固有の理由というよりはアメリカを志望した理由となります。欧州やアジアのDiversityの高さは確かに魅力でしたが、純ドメで今後グローバルに仕事をしていきたいと考えていた私にとって英語力向上は必須でした。ドイツに1年駐在経験があったのですが、日常生活は全てドイツ語ですし英語で会話しても非ネイティブ同士なので「まぁ伝わればいいか」感がどうしても出てきてしまい、英語を純粋に鍛える環境は限られていたように思います。しかしアメリカのビジネススクールでは、ネイティブ同士の日常会話やチームミーティングなどで言っている意味が分からないという場面には幾度となく出くわします。私の場合、分らなかった言い回しに遭遇した際はなるべくメモるようにしており、少しづつ使える語彙を増やしています。個人的には語学学習に終わりはないと考えていますので、継続して頑張りたいと思っています。

以上、非常に個人的な見解となりましたが、なぜ私がEmoryを進学先に選んだのかの理由と、Emoryの特徴についてご紹介しました。引き続き、昨年12月に開催しましたWebinar資料と動画をホームページに掲載しておりますので、ご興味ある方はぜひご覧になってください。


個別の質問やご相談がありましたら、下記のメールアドレスにご連絡頂ければと思います。
goizueta_jp_student@googlegroups.com
↑上記の@マークを小文字の@にご変更ください。
 

受験の追い込み時期にも関わらず、今年は新型コロナウイルスの影響もありさらに大変かとは思いますが、くれぐれも体調には気をつけて最後まで頑張って下さい!