米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2022年9月30日金曜日

1年制MBAプログラムを終えて

 

Class of 2022S.N.です。前回(202112月)の投稿は1年制MBAのご紹介でした。投稿後、1年制MBAを修了し、留学前から勤務している会社に戻りました。今回の投稿では、Emory MBAの感想とEmory MBAが実際の仕事で役に立つのかを1つのnとして書き留めたいと思います。エッセイを書く際の参考になればうれしいです。

 

率直な感想

超効率的にビジネスの型を親身に叩き込んでもらった1年でした。

私は、米国の他の大学のロースクールでLLMを修了してから1年制MBAに入学しました。Emory 1年制MBAは、2年制MBA1年間に濃縮したものであるため1年間の密度は非常に高いです。事務局からは「ちょっと気を抜くとおいて行かれる」と散々プレッシャーをかけられましたが、一匹狼の集合体であるロースクールと異なり、エモリー大学のビジネススクールはcollaborativeな環境であるため、留年や修了要件を満たせないなどの危機は一切感じず修了できました。

アメリカのビジネススクールを2つに分ける時、Collaborative Competitiveかという基準があると思います、エモリー大学は明確にCollaborativeな学校です。例えば、成績の50%程度は、グループで提出する課題に配点されている授業が多いですし、またチーム内での蹴落としあいみたいなことが起きる要素がほぼありません(クラスの〇〇%はFailにしなければならない。といったルールがない)。

そのため、例えば必須クラスでFinanceMarketingを取らないといけないが複雑な計算式を見ると吐き気がするとか、Marketingにしか興味がない。といった場合は、チーム内で役割分担をしてMarketingに集中するようなこともできました。(もちろん、このやりとりのなかでアメリカ流交渉を肌で学べました。)

これらのやり取りを通じて、常にビジネススクールのゲストとしてではなくメンバーとして教授陣、他の学生はもちろんスクールのプログラムオフィスなどと濃いコミュニケーションを取りながらアメリカ型の合意形成ステップや仕事の進め方を含めた教室の内外でビジネスの知識・テクニックを身に付けることができました。

 

MBAは役に立つのか(社費生)

社費生の場合、派遣元の会社に戻り大きな組織の中で事業運営の一部を担うことが多いと思います。そのため、「MBAで得た知識を適用してHands-onで事業を運営している」という実感は得にくいと思います。私のケースだと、ビジネススクールで得た知識よりもロースクールで得た知識の方が圧倒的に多く仕事の中で直接的に適用しています。

では、MBAは役に立たないのか?というと、知識バカになるのを防ぐという意味で役に立っています。

例えば私の場合、ロースクールで契約書について勉強をしました。会社に戻り契約書をチェックしたりしているとロースクールの知識だけを適用すると修正したくなる条項が大量に見つかります。それらの修正点を意見として提出する前に、ビジネススクールで学習したビジネスの「形」を適用しビジネスの観点から修正の要否を追加検討し、ビジネスの文脈から修正理由を相手に伝えることで相手に共感・納得してもらいやすい意見にすることができているように感じています。

=1ですが、私のケースが示唆しているようにMBAは広く浅くビジネスを学ぶプログラムですので個別の論点ではその分野を専門としている人(例えば法務、経理)の方が遥かに深い知識を持っています。そのため、それだけだと「広いけど薄っぺらい知識を持ったアメリカ帰りの人」扱いされると思います。一方で、特定の分野である程度経験を積んだ人がMBAと実務経験に裏打ちされた専門知識を融合することで「ビジネスのことも配慮してくれる〇〇に強い人」と評価されやすくなると思います。

これがMBA修了後、日本の企業で数カ月仕事をしてみた感想です。これを読まれている方は将来のMBA留学生が多いと思います。皆様が留学を終えた後、後輩に本心でおススメできる学校が皆様の母校になることを願っています。