米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2022年11月19日土曜日

冬Webinar のご案内

この度、在校生主催によるEmory University Goizueta Business Schoolの学校説明会及びパネルディスカッションを行います。

今年の出願に向けて準備されている方はもちろん、受験生のご家族や今後MBA 留学を検討中の方も、お気軽にご参加下さい。在校生一同、皆様のご参加をお待ちしております。

 

1. 開催日時

2022年12月11(日) 10:00am~11:00am(日本時間)

 

2. プログラム内容

第一部:GBSのプログラム概要

第二部:パネルディスカッション

第三部:QAセッション

 

3. 登録方法

以下の参加登録フォームからご登録ください。こちらにて事前質問を受け付けさせていただき、当日QAセッションにて事前質問についてご回答させていただく予定です。


https://forms.gle/nDr1C4scdr1BaCuA6

 

4. 当日の配信について

参加登録フォームに登録していただいたメールアドレスに、後日ZoomLinkを送付致します。



2022年11月16日水曜日

エモリー大学でのヘルスケア、ソーシャルインパクト関連の学習機会

 

ご無沙汰しております、Co23Y.M.です。最近、業種を関係なく、非常によくご質問、お問い合わせをいただくトレンドの一つが「ヘルスケア」と「ソーシャルインパクト」です。両者は必ずしも同じというわけではないですが、非常にシナジーがある分野でもあり、実はエモリー大学はこの2つを学ぶのに非常に適しているので、この2つの価値観で授業をとるかどうか決めている私が少し学習機会を紹介したいと思います。

 

(1)「ヘルスケア」、「ソーシャルインパクト」を因数分解してみる

   そもそもですが、「ヘルスケア」、「ソーシャルインパクト」を学ぶというのはどういうことでしょうか?何を学ぶ必要があるのでしょうか?意外とこの問に答えるのは難しいのではないかと思います。そして、もっと言うと、なぜPublic Healthの学校でなく、またなぜPublic Policyの学校でなく、Business schoolで勉強したいのでしょうか?面接官は必ず聞いています。

   私の考えはこうです。

·       実は昨今のヘルスケア/ソーシャルインパクトの課題の大半は、「ヘルスケア/ソーシャルインパクト特有の課題」よりも「一般的なビジネスの課題(投資、財務、会計、オペレーション、戦略・実行、マーケティング・イノベーション等)」がかなりのウェイトを占めており、「分野特有の課題」は「技術的課題(例:医薬品の作り方、治療法、風力発電の技術的メリットデメリット、等)」「実務的課題(例:医薬品の承認申請の手続き、風力発電の建設に係る手続き等)」といった限られた部分しか占めていない。(ヘルスケア/ソーシャルインパクトは特別な分野で一般論は全く当てはまらない、というバイアスがプロフェッショナルの人にも一般人にも存在する。これは間違い。)そして、「現場レベルで絶えず発生する課題(キャリアや雇用の課題、心的・身体的課題、パッション、差別、定性的な課題)」は当然、学校では学べないのでキャンパスを飛び出して現場にでて学ぶ必要がある。

·       従って、「分野特有の課題」を学びたければ確かにPublic HealthPublic Policyの学校に行くべきだが、「一般的なビジネスの課題」に関する解決方法を知らないのであれば、まずはそちらをビジネススクールで学ぶべき。

·       その上で、まずはヘルスケア/ソーシャルインパクトに特化しすぎることなく一般論(王道)を常にヘルスケア/ソーシャルインパクトへの関連に意識を向けつつ学ぶべき。(イメージはセンター試験の問題も解けないのに、東大の二次試験をいきなり解こうとしないのと同じ。)。

·       とはいえ、基礎は1年ほどで終えられるので(それぐらいビジネススクールの教育システムは確立しているし、頑張ればだいたいの知識は学びきれる)、2年目以降に応用問題へチャレンジする時間ができるため、ヘルスケア/ソーシャルインパクトに関する学習機会が程よくあるビジネススクールを選ぶことが重要。

·       ただし、その場所は「現場レベルで絶えず発生する課題」が学ぶのに適する場所に位置する地政学的事項を考慮するべき。つまり、学校での学習期待と並行し、学内、学外のヘルスケア/ソーシャルインパクトに関するステークホルダーやコミュニティーとは現場感覚を学び、ネットワーキングするためにつながりを持とうと頑張るべき(セミナーや学外イベントへの参加、他校学生との交流、地元の人やNGOとの交流等)。

 

=>公民権運動発祥の地であるジョージア州アトランタに位置するエモリー大学はまさにこのバランスが素晴らしい!!



 以上を踏まえて、少しエモリー大学inアトランタでの学習機会をご紹介します。

 (2)一般論に関する授業(でかつ、ヘルスケアやソーシャルインパクトに役立つもの)

Ø  コア科目全般:すべてのビジネスの基本で、当たり前だが基本的にすべて役に立ちます。ただ、知識というよりビジネスとは何か?という概念を学ぶということですが、ヘルスケアやソーシャルインパクトに関する課題を再度見つめなおすときの視野を広げ、同時に解像度を上げることにつながったと思います。

Ø  Investment Banking:基本的な投資に関する勉強ができますし、財務モデルの組み方、バリュエーション(企業価値の算定)等を学べます。ヘルスケア業界でも最近はM&Aが活発ですがそのあたりも学べます。ビジネスセクターのお金を以下に集めてくるのかということは、ヘルスケアやソーシャルインパクトに重要なので、このような基本的な事項は非常に重要です(投資家心理を知ることが社会実装の第一歩!)。

Ø  Project Finance:ヘルスケアやソーシャルインパクトの開発は非常にリスクが高く、値段も高額であることが多いですが、そのようなハイリスクなインフラ施設、特に途上国での開発を進めるための資金調達や契約を達成するプロジェクトファイナンスという財務手法を学びます。近年だと、太陽光発電施設の開発や途上国での工場設置、病院設立、あとはCovid19のワクチンを途上国に届けるための国際プロジェクトを実施するための資金調達をこの手法で実施していますので、その基本的な概念が学べます。

Ø  Product & Branding Management:マーケティングの授業で、STPや3C(or 5C)Jobs to be done4P、コンジョイント解析、Brand extension、等一通りの基本的マーケティング知識を非常に効率よく、実務レベルで学べる授業です。製薬企業のマーケティングに関するトピックもふんだんにあります。

Ø  Global Marketing:エモリーが誇るマーケティングの権威、Jagdish教授の授業で、最近よく使われている4A分析を提唱した教授。インド出身で親日家ということもあり、インドや日本、極東アジアの企業の話はよく授業で出てきます。特に途上国での産業や途上国の企業活動による支援の方法、産学連携の方策など、幅広くマーケティングや戦略を学ぶので、ヘルスケアやソーシャルインパクトにとても重要な知見を得られます。

Ø  Financial Statement Analysis and Valuation:来期とる予定ですが、財務諸表(10-K)を読み込み、会社の状況を分析するノウハウを学ぶアカウンティングの授業です。財務諸表はすべての基礎なので、当然、ヘルスケアでもソーシャルインパクトでも、すべての企業やNGOは財務諸表を有しているので、それを読む知識は必要です。

Ø  Supply Chain Management:オペレーション系をあまりとっていなかったので、来期受講予定。ヘルスケアでもソーシャルインパクトでも、流通管理は非常に重要なので、その基礎を学ぶのは重要だと考えています。なお、病院の経営等に興味がある人は、私は取り損ねましたがOperation strategyという授業もあり、例えば、できるだけ病院を効率的に回転させるかという課題を解決するのに必要な知識・概念が身につきます。

Ø  Innovation Strategy:イノベーションはヘルスケア、ソーシャルインパクトの両方に重要なので、その基本的な概念を学べる授業です。マッキンゼー出身の教授が担当します。私は来期とる予定ですが、評判が良い授業なので期待しています。

(3)分野特有の専門的課題の解決に関する授業

Ø  Business of healthcare:アメリカの医療問題(保険政策)や医療サービスの向上、病院経営、AImRNAワクチン等の最先端技術に関する医薬品医療機器ビジネス、等、基本的な業界トレンド・知識を学べます。公衆衛生の学生との合同授業なので、チームも混成であり、お互いの知見をシェアできるので非常に役に立ちました。なお、私は都合がつかなかったので取れませんでしたが、別の教授が教えるヘルスケアビジネスの授業も存在します。そちらも非常に人気です。

Ø  Social Enterprise/Entrepreneurial Investment:市場メカニズムを用いたソーシャルインパクトをどのように実施するべきか、ビジネスの枠組みを使ってどのように公共政策を実行するのか、という点をケーススタディーやゲストスピーカーを迎えて学ぶ授業です。特に、Social Impact Bond等を学べたのは非常に勉強になりました。

Ø  Corporate Political Strategy:企業の渉外戦略を学ぶ授業ですが、PublicPrivateの接点の話なので、ESGやヘルスケア改革に関する論点や最新の知見を効率よく学べます。最終プロジェクトで一つの企業と政府とのnon marketの交渉事項を分析し、発表するのですが、私のチームはPfizerが直面する政府による薬価改定政策に関する渉外戦略策定に取り組んでいます。

Ø  IMPACT:当該授業はコアの一環ですが、実際の企業や病院・NGOをクライアントとして彼らの課題を1セメスターかけてコンサルテーションする、リアルワールドでビジネスを学べる授業です。私は某世界的医療機器メーカーの新規製品に関する価格戦略策定を担当し、毎週、クライアント(先方のマーケティング担当者)と打ち合わせをして、最後クライアントにプレゼンとレポートを提出しました。分野はヘルスケアに限りませんが、ほぼ毎年ヘルスケア関連、ソーシャルインパクト関連のクライアントがくるので、チャンスは高いです。理論と実務を学べる良い機会です。

Ø  Directed Study:来期に受講予定ですが、エモリー大学の制度で、在籍中1回まで、自分の好きな教授から個人指導を受けて自分の好きなテーマについて学習し、3単位もらえる機会があります(教授から許可をもらう必要はあり)。私は製薬企業のイノベーションに関するマーケティング戦略を検討しようと、マーケティングの教授に指導を受ける予定です(教授にもよりますが、私の教授の場合は自分が好きなペース、好きな粒度で活動してよいとのこと)。最後のセメスターにMBAの集大成として、ヘルスケア、ソーシャルインパクトに関する個人学習を進めるのはNext Careerにもつながるので非常に良いものと考えます。

(4)ビジネススクールの授業以外の学習機会
   (A)ビジネススクールのクラブ活動

  ビジネススクールのクラブ活動は主に就活準備のためですが、スポンサーでも参加可能なので、興味があれば参加してもよいかもしれません(私は参加できていませんが、参加した過去には社費生もいると思いますし、私費日本人留学生は参加していたりします。)

Ø  Healthcare Consulting Club:ヘルスケアの専門の教員がコーチを務め、MPHと合同で運営するクラブです。主にヘルスケアコンサルタントを目指す学生や、ヘルスケアに興味のある学生、製薬業界等ヘルスケア関連のテックに興味のある学生が集まり、勉強会をしています。

https://www.voiceofgoizueta.com/healthcare/

Ø  Net Impact Club: ソーシャルインパクトに関心のある学生が集まる米国のNPOですが、おおよそビジネススクールにはクラブ活動として支部があるようです。エモリーにも同様にあるので、ソーシャルインパクトに関して勉強、ネットワーキングができると思います。

https://netimpact.org/chapters/emory-university-goizueta-business-school-graduate

Ø  Peach Tree Minority Venture Fund (PTMVF):エモリー独自のクラブですが、学生運営のベンチャーファンドです。BlackHispanicNative AmericanFounder(創始者)のStart Upでベンチャーキャピタルから投資を受けられる率はそれぞれ3%未満とのことで、公民権運動発祥の地であるアトランタで、この3人種のFounderに対して投資活動を行い、ソーシャルインパクトを後押しするというものです。参加には選考がありますが、選ばれると10単位ほどもらえるそうです。正規で参加できなくとも、垣間見たいLight LearnerにはPTMVFの活動に触れられる授業も用意されているので、そちらをとることも可能です。

https://goizueta.emory.edu/faculty/entrepreneurship-innovation/programs/venture-fund

   (B)ビジネススクール以外の授業

Ø  Rollins Public Health School等の授業:公衆衛生の授業も教授の采配次第ですが、受講可能です。また、正規の受講が厳しくても、教授によってはAudit(履修登録なしの授業聴講、つまり宿題やテストは免除)をすることも可能なので、ビジネススクールにいながら「分野特有の課題」の解決に関する知識を学べる機会があります(私は公衆衛生の基礎である疫学についてAuditしました。授業はレコードされているので、空き時間で勉強できるのが便利で、質問は普通にできるのでそれがいいです)。

Ø  Georgia Tech等のアトランタ内の連携校の授業:希望すればアメリカ3大工科大学(東のMIT、南のGeorgia Tech、西のカルフォルニア工科大学)の一つ、Georgia Tech(ジョージア工科大学)ビジネススクールの授業もとれます。

Ø  海外の連携校の授業:追加の費用が必要ですが、数か月間、連携の海外のビジネススクールに留学することも可能です。

   (C)アトランタのコミュニティー

Ø  DE&I:昨今のヘルスケアやソーシャルインパクトに関する課題の根幹的問題の一つがDiversity, EquityInclusionに関する問題ですが、アトランタは他の地域と違い、非常にBlackの比率やHispanic、アジア人の比率が高いので、ちょうど各人種がほぼ均等に居住する大都市です。エモリー大学ゴイズエタビジネススクールもCo2024は半数がInternationalな上に、NativeBlackHispanicの比率が多く、加えて移民2世3世が多いので、隠れたInternationalの比率は恐らく7割ぐらい言っていると思います。Full Time MBADeanBlack、ビジネススクール全体のDeanも白人ですがInternationalの方です。他のトップスクールだとWhiteが7~8割という話はよく聞きますので、空港を降りた瞬間にカルチャーショックを受けると思いますし、校内の多様性には驚くと思います。

Ø  公民権運動関連:アトランタは言わずと知れた、公民権運動発祥の地です。マーティン・ルーサー・キング・Jr 牧師の出身地、埋葬地であり、暴力によるBlackへの迫害をガンジーにインスパイアを受け、非暴力で対抗し、大きくBlackの地位向上、ひいてはそれに続く形で他の有色人種の地位向上に貢献した偉人です。アトランタにはそのDNAが今も根付いています。

Ø  The Hatchery:エモリーの施設ですが、学生の起業を支援するために作業とソーシャライジングするスペースを3Dプリンターなどの工具などの無償レンタルを含めて提供するスペースがあり、起業に興味がある方はここのインキュベーションプログラムに参加すると学べると思います。(Directorはイノベーションに関するマーケティングが専門の先生が務めています)

https://hatchery.emory.edu/

Ø  University Bioconnect:アトランタのヘルステック系の大学の教員・学生、地元の投資家、起業家が集まり、月に1度程度、ソーシャライジングしながら勉強会を行っています。ここで、私はGeorgia TechのバイオエンジニアリングのPhDの学生と非常に仲良くなり、よくごはんに行ってキャリアや夢について語り合って、お互い高みを目指しています。
https://www.meetup.com/ja-JP/university-bioconnect/

Ø  Nucleate in Atlanta:元々ボストンのMITHarvardの学生や投資家たちによって立ち上げられたバイオテックに特化した学生向けインキュベーションプログラムですが、20231月より正式にアトランタにもスピンオフプログラムが開始します(幹事はGeorgia TechPhDの学生たち)。このプログラムはイノベーションの種を持っているPhDの学生が、その研究成果を基に起業することを支援するため、Medical SchoolMBAの学生を参画させ、チームを構成し、疑似スタートアップとして、様々な起業家や投資家のメンタリングを受けながら、ビジネスプランを作成、最後ピッチを行ってうまくいったら起業することを目指す半年程度のプログラムです。サステイナビリティ系のネタでもOKだそうなので、ヘルスケア・ソーシャルインパクトに関する起業を検討する方には良いプログラムだと思います。

https://nucleate.xyz/locations/atlanta-ga/

Ø  ジョージア日本人研究者の会:主に医科学系の研究が多いですが、研究歴の有無問わず、研究に興味のある方はだれでも参加可能な形で、アトランタで研究する日本人のソーシャライジングを目的として月1回程度セミナーを開いている団体です。私もよく参加しますし、MBAMPHの日本人学生も多く参加しています。

https://gjrainfo.wordpress.com/

Ø  アトランタの日本人コミュニティ:アトランタは多岐にわたる分野、リソースがあるので、非常に多くの日本人がそれぞれ違うバックグラウンド、目的をもって滞在しています。ここでは、立場や背景は関係なく、みんなファーストネームで呼び合うフラットなカルチャーで、研究留学する医師や私のような政府関係者、日本人弁護士、駐在員、MPHCDC(実はコロナで有名になったアメリカ疾病対策局(CDC)はエモリーの真隣に位置します)に留学する日本人医療関係者等、分野を超えた交流ができるため、アトランタにいながら日本のヘルスケア、ソーシャルインパクトに関する課題を学ぶことができます。

Ø  アトランタの現地+留学生コミュニティ:日本人同様に、実に様々な国から色々なバックグラウンドの方が集まっているのがアトランタです。アメリカ人でも同じで、アトランタ出身の人も多いですが、ニューヨーク、カルフォルニア、テキサス、・・・、国内の様々な地域から集まっています。そして、定期的に短期座滞在の人も多いです。専門分野も多岐にわたり、チベット仏教の僧侶(エモリー大学はダライ・ラマア14世が名誉教授なので、インド・チベット地域からの僧侶の留学生が非常に多いです)なんかもいますし、医師、研究者も多いです。地元の協会主催の無料英会話教室など、様々なコミュニティーで簡単にkのような方に出会えるのもアトランタの素晴らしいところです。

以上を参考にしつつ、さらに詳しい話がもし聞きたいようでしたら、遠慮なくgbs.japanese-club@emory.eduまでお問い合わせ下さい!