どうもClass of 2025のK.Sです!もうすぐ帰国の日が迫っているわけですが、今日は最後のセメスターに参加した、Goizueta Consulting Associationが主催するハンズオン型コンサルプロジェクトに参加してきたので、紹介しようと思います。
Goizueta Consulting Associationは、Goizueta Business Schoolにあるクラブの1つですが、そのクラブが毎年アトランタにあるスタートアップ企業を対象にした、学生主導型のハンズオンプロジェクトを機会を学生に提供しています。
【参加理由】
私が参加した理由としては、元々スタートアップの企業に興味があったのと、特にAIドリブンのSaaSビジネスに実践的に関わってみたいと思っていたので、参加することにしました。
【参加方法】
私の時は、同クラブからビジネススクールの学生宛てに参加希望を募るメールが送られてきていました。フォームに入力して、自分の参加したい企業を第1希望から第3希望まで選ぶ形です。
【プロジェクトの負荷】
自分がどこまで真剣にやるか、というのにかなり左右されると思いますが、私の場合はかなり負荷が高かったです。アサインされる前は1週間に5時間程度のコントリビューションという事前情報だったのですが、いざ始まってみると、忙しいときは1週間で30時間ぐらい作業していた気がします。毎週プロジェクトの進捗を確認されるので、その準備に追われことに加えて、チームリーダーを務めたことと、担当セクションが全体の中で一番重かったのが忙しさの要因だったと思います。
【参加企業】
私の年にクライアントになる企業の候補と概要は以下の通りです。医療系の会社が多いですが、私はこの中からSupercopyを選びました。
- Oridivus(口腔内の創傷治癒を促進するために、自然免疫系を活用した治療法を開発しているバイオテクノロジー会社)
- OrthoPerserve(膝の半月板損傷に対する人工半月板インプラント「Defender」を開発している医療機器会社)
- SuperCopy(AIを活用してブランドとオーディエンスのデータを分析し、パーソナライズされたマーケティングコンテンツを生成するプラットフォームを提供するソフトウェア会社)
- VocAlert(パーキンソン病患者のための声の発生装置を開発する医療機器会社)
- 2025年2月:候補先のクライアント開示・学生の募集開始
- 2025年3月:アサインされるクライアントが決定。プロジェクト開始
- 2025年4月:外部コンサルタントのリアリティチェック
- 2024年5月:発表
- ①エンタプライズ企業への売り込み戦略の提案
- ②エンタプライズ企業向けのプライシング戦略の提案
私が所属したのは全部で7人のチームでした(アメリカ人5人、インド人1人、日本人1人)。またバックグラウンドもかなり多様で、Homedepo, Microsoft, Accenture, などの企業で働きながらイブニングMBAで勉強をしている学生でした。
プロジェクトが始まると、チーム内で更に3つのチームに分かれました。私はPricing teamにアサインされ、チームリーダーを務めることになりました。同じチームには他に2人のメンバーがアサインされ、合計3人のチームです。
正直プライシング戦略の実務の経験はなかったので、うまくチームを引っ張ることができるのか不安でした。自分で色々と文献を漁ったり、1年生のときに履修したプライシングストラテジーの教授のところにお邪魔して、助言をもらったりなど、かなり忙しく動き回りました。
最初はsawtoothというソフトウエアを使用してコンジョイント分析を実施しようとしたのですが、Supercopyの製品がユニークであることに加えて、調査に係るリソースが少ないことから1次情報の獲得は諦め、2次情報からSupercopyのエンタプライズ企業向け価格を考案することにしました。以下のステップで調査を実施しました。
- ペルソナのニーズからプライシングモデルの決定
- Value Based Pricingにより、エンタプライズ企業向けのベース価格を決定
- 各Add-onsの個別価格を決定
以下で各ステップを詳しく紹介します:
1. ペルソナのニーズからプライシングモデルの決定
Supercopyはエンタプライズの中でも特にコカ・コーラ社への売り込みを狙っていたので、コカ・コーラ社のマーケティング部門で働いてる社員をペルソナとして設定しました(ここではペルソナをジェシカとします)。このジェシカが持つニーズ(例:コンテンツの一貫性を保ちたい、マーケットの動きに応じてキャンペーンのエクスパンドを図りたい)を分析して、それに合うプライシングモデルを考案します。最終的には、Flat-rate Pricing, Budled Add-ons, Unlimited user access, Three tiers pricingの4つの要素がジェシカのニーズを満たすことがわかり、これらの機能を価格モデルに組み込むことにしました。
2. Value Based Pricingにより、エンタプライズ企業向けのベース価格を決定
本来であれば、Value Based Pricingは潜在顧客へのアンケート(PSM分析、コンジョイント分析、デプスインタビュー)を通じて実施することが一般的ですが、今回はリソースや時間的な制約によりそれらが実施できないため、ジェシカのチームがSupercopyを導入することによって削減できるコストをValueに据え、そこからエンタプライズ企業向けの価格を算定しました。また、エンタプライズの支払意欲や競合他社の価格も参考に、価格の微調整を行っていきます。多くのAssumptionが必要であり、資料集めには苦労しましたが、最終的にはValueに見合う価格設定ができたと思います。
3. 各Add-onsの個別価格を決定
各tierのベースプライスは決まりましたが、ジェシカのニーズに応えるにはAdd-onの価格も決めなければなりませんでした。Add-onsの価格設定は2次情報でも見つからなかったため、チーム内で上限価格の仮説を立てて、1つ1つのAdd-onにどれくらいの価値があるのかを、評価して定量的に評価していきました。
最後に上記の1から3を統合して、最終的な価格表を作成しました。スライドの枚数は本番で発表したスライドは4枚でしたが、Appendixは20枚、Appendix前の検討段階のスライドを合わせると60枚ぐらいのスライドをプライシングチームだけで作成しました笑
リアリティチェック
プロジェクトの途中にはリアリティチェックがあり、外部からコンサルタントを呼んで、プレゼンの中身をチェックしてもらいます。私の時は、Goizuetaの卒業生で元マッキンゼーの方が来てくれました。かなりボコボコに指摘されましたが、的を得ている指摘だったので、素直に受け止めて修正作業をしました。
最終プレゼン
プレゼンは最後アトランタにあるScience Square Labsという場所で発表しました。会場にはエモリ―の学生や教授に加えて、コンサルやベンチャーキャピタルに勤めている外部の方も参加していました。プレゼンは10分間、質疑は5分間なので、言いたいことを短く端的にまとめる必要がありましたが、なんとか発表も質疑もうまく乗り越えることができました。
【まとめ】
上記で述べてきたように、かなりのコントリビューションが求められるプロジェクトですが、その分得るものは大きいです。以下の能力や知識が得られたと思います。
- GenAI, Martech分野に対する知見
- プライシング戦略全般に対する知識
- エンタプライズ企業向けのカスタマーサクセス
- 情報が少ない中で道筋をたてる仮説構築力
- リーダーとしてチームをまとめ上げるリーダーシップ
- 部下を管理するマネジメント能力
興味がある方はぜひトライしてみてください!
チームメンバーとの集合写真
プレゼンの様子