Class of 2016 のYutaです。
長かった秋学期もようやく終わりました。今回は期末試験の一つ、Day 1 Challenge について紹介させていただきます。
先週のブログで Akira が説明した通り、GBSのコアプログラムは3つのブロックに分かれており、必修8科目を1年生全員が受講します。その中で唯一、3ブロックを通じて学習するのが、過去のブログでも何度か触れられているMP(Management Practice) です。この科目は、ビジネススクールで学ぶ各種のハードスキルを、現実の課題に「応用」するプロセスを体得することが目的となっています。私たちは5ヶ月に渡ってたった2つのケーススタディに取り組みました。ケースは実際のビジネスと同様に不確実性に溢れており、また時間の経過と共に新情報が追加される仕組みになっています。こうしたダイナミックな環境下において、”Data-driven decision making”の方法論を学びます。
このMPの期末試験が表題の “Day 1 Challenge”と呼ばれるロールプレイングで、今年は12月5日に実施されました。ここでは「卒業後に就職した会社の出勤初日(Day 1)」という設定で、その場で与えられた課題に、その場で結成されたチーム(5名)で取り組みます。指定された時刻に教室に到着すると、チームの割り振りが発表され、その後架空の新商品の情報が与えられます。その新商品の立ち上げに最適な市場を選定し、経営陣にプレゼンをするのが今年の課題でした。なお、課題発表からプレゼンまでは4時間の時間制限が設けられています。
4時間でチームビルディング、議論の進め方の決定、意思決定に必要な情報の決定と収集、情報の分析、意思決定、プレゼン資料作成まで完結させるのはかなり無理があり、私のチームの提案もさほどクオリティの高いものではありませんでした。しかしそれでも私は Day 1 Challenge (および MP 全般)に大きな価値を感じています。それは、各ビジネススクールに共通する「長期至上主義」を修正するものだと考えるためです。
この半年で多くのケーススタディを扱ってきましたが、その大多数は大企業のCEOとしての意思決定を問うものです。そこでは(やや乱暴な言い方になりますが)、『短期の利益よりも長期の戦略性・ブランド価値・顧客満足を優先する』方向で論じてさえおけば高い評価が得られたような気がします。また、そもそもがCEO目線ですので、「自分が意思決定さえすれば、後は部下が具体化する」ことが前提とされています。卒業後にCEOに就任することが決まっている学生ならばそれでも良いでしょうか、普通はそういうことはありません。多くの卒業生は小規模なチームを率いるか、一人のメンバーとしてプロジェクトに参加するはずです。費やす時間の割合で言えば、充分な情報に基づいて大所高所から長期の方向性を見極めることよりもむしろ、不完全な情報の中で荒削りな事業プランを立案し、それを実行しながら絶えず修正していくケースの方が多いと思われます。
もちろん上司や同僚が100%自分の意見に耳を傾けてくれるわけではなく、常に部分的に妥協しながら与えられた条件下におけるベストな解答を模索せざるを得ません。Day 1 Challenge を含めMPのケーススタディでは、そうした状況を数多く経験することができました。
もちろん上司や同僚が100%自分の意見に耳を傾けてくれるわけではなく、常に部分的に妥協しながら与えられた条件下におけるベストな解答を模索せざるを得ません。Day 1 Challenge を含めMPのケーススタディでは、そうした状況を数多く経験することができました。
MPの Patrick Noonan教授は、KISSアプローチ (Keep It Simple and Start anyway!) という表現で、仮説ベースの試行錯誤型問題解決アプローチを提唱していました。長期の「あるべき論」にとらわれて身動きがとれなくなるのではなく、「今この瞬間、どんなアクションを起こすのか」に集中する彼の講義は、私にとって非常に印象深いものになりました。
1月からスタートする春学期ではコアのMPの続きとなる MP Elective の履修が義務付けられており、マーケティングや物流など、各自が選択した分野でアトランタに拠点を置く事業会社に対してコンサルを行うことになっています。この点についても今後のブログでアップデートしていきますので、ぜひご覧ください。
Yuta