米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2019年10月14日月曜日

授業紹介 ―Managerial Economics―


受験生の皆さん、こんにちは。Class of 2021HTです。


2年制MBA1年間はFall SemesterSpring Semesterに分かれており、それぞれが3つのBlockに分かれています。1年目のFall Semesterは全てコア科目で構成されており、現在Block2が佳境を迎えております。今回は(まだ2か月ほどしか経っておりませんが)そのFall Semesterでこれまで学んだ中で、個人的に「最も印象に残っている」授業を紹介したいと思います。


それはBlock1で学んだManagerial Economicsです。いわゆるミクロ、マクロ経済学なのですが、そこはビジネススクールらしく、実際の企業活動に即して授業が展開されます。また、チームで取り組む課題、個人課題が、毎週35つほど課されるなど、かなり密度が濃かったです。内容によっては、これまでの実務経験から考えると、すぐには理解しづらいこともあり、クラスメートや教授との活発な議論を呼びました。


例えば、企業が経済的に価値を生み出せているのか、すなわちEconomic Profitがプラスか、を考える際には、別のビジネスに従事・投資していれば得られたであろう利益(機会費用)や投資家へのリターン(期待収益)をコストとみなす一方で、実際に金銭のやり取りを伴わない減価償却費などはコストとして認識しないなど、馴染みのある会計上の利益とは異なる考え方で、激しく混乱しました。


授業を受けているときにはEconomic Profitについて学んでも実務では使えないのでは、という思いが正直ありましたが、今までの実務とは別の視点から考えれば重要な概念なのではないか、ということに遅まきながら気づきました。投資家の期待に応える、支払うべき債務を支払う、ということが、企業が社会において果たすべき役割の一つである以上は、それらをネットして評価することは理にかなっているのではないかと思います。(個人的には株主至上主義には反対ですが)


では、これが実務にどのように役立つのか。結局これについては、まだはっきりとは分かっていません。対内的にも対外的にもEconomic Profitベースで事業報告することはないと思いますし、投資判断をする際にはもっと有意な指標はいくらでもあります。ただ、より上位の視点として自社が経済活動主体として価値を生み出しているのかどうか、という視点は特にマネジメントとして仕事をする中では、頭の片隅に置いておいてもいいのではないかと思いました。


なお、Managerial Economicsを担当するRaymond Hill Senior Lecturerは、投資銀行でManaging director、事業会社でCFOを務めるなど豊富な経験があり、過去に「(存命の)最も影響力のあるビジネススクール教授Top20」で4位にランクされた人気教授の一人です。授業においてはコールドコール(手を挙げていなくても指名され発言させられる手法)を用いた双方向のコミュニケーションを重視しており、ともすれば退屈になりがちな経済学を、緊張感をもって楽しく学ぶことができましたし、学生全員分の期末テストを教授自ら一人ひとりの返却ボックスに投函する姿が目撃されるなど魅力的な人物でもあります。


コア科目は他にもたくさんありますし、選択科目も豊富に用意されています。何かご質問がありましたら以下の宛先にご連絡ください。


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