米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2015年11月12日木曜日

飲茶と夜景だけじゃない!!~香港で学ぶ魅力(交換留学編)

CUHK(香港中文大学)のメインキャンパス
駅から徒歩1分、学内は無料バスが走ります
ニイハオ(こんにちは)!

はじめまして。日本人交換留学生のKeiichiです。エモリーに、香港のCUHKビジネススクール(香港中文大学)から2015年秋学期の間、妻・Yokoと子供達でやって来ました。

香港と言えば、飲茶!夜景!ディズニー!

・・ですが、今回は真面目にエモリー大学MBA課程の交換留学制度の簡単な紹介と、もしエモリーから香港のCUHKに交換留学したらどんな生活が待っているかご紹介したいと思います。記事を通じてアメリカとアジアのMBAの違いを感じていただければ幸いです。

エモリーの充実した交換留学制度

香港の話を始める前に、まずはエモリーの交換留学制度の詳細について、MBAオフィスのMs.Harrietに話を伺いました。

「EMORYではMBA生対象に、3~4カ月(1学期)にわたる交換留学プログラムと、1~3週間にわたる短期プログラムを用意しています。単位認定しており、これらのプログラムを通じて世界で通用するビジネスリーダーになる準備をして欲しいと思っています。

2015年Fall TermにEMORYへ来た交換留学生
現在、EMORYは世界中の27のビジネススクールと交換留学協定を結び、毎年約20名の交換留学生がEMORYに学びに来ています。一方、エモリーから他校に交換留学する学生は、毎学期5名程度となっています。

EMORYから他校に交換留学しようとした際の選考プロセスとして、アメリカ渡航翌年の1月に希望者の募集が始まるので応募いただき、エモリーでの学業成績とエッセイの審査を経て、2月下旬に結果発表となり、2年生としてFall Term (8~12月)かSpring Term (1~5月)に渡航します。今までの話ですが、EMORYの学生は第1、2希望の交換留学先に行っています」(Ms. Harriet談)

お話を伺った個人的感想としては、エモリーの交換留学制度はとても恵まれたプログラムと感じました。というのも、CUHKから他校に交換留学する際、特にアメリカは学生間で一番人気で応募者が多く、選考に漏れて交換留学できないケースが毎年とても多いからです。

交換留学先として香港を選んだら

夜は100万ドルの夜景に早変わり。
香港に交換留学すればこの夜景、貴方のもの・・
続いて、もし皆さんがエモリー入学後、交換留学先として香港のCUHKを選んだらどんな生活が待っているか簡単にご紹介します。

香港は、全面積が東京都の約半分。人口は726万人(東京は1335万人)、うち在香港日本人は2.5万人です。成田から飛行機片道4.5時間、日本人の人気海外旅行先ランキング5位(2014年EXPEDIA調べ)です。香港進出日系企業数1388社、法人税は16.5%(日本の半分)、中国の玄関口で東南アジアへのアクセス良好のためグローバル企業が会社を構え、就活生も企業訪問しやすい地理的環境です。香港証券取引額は世界7位にランクインする国際金融都市です。

アジア最古のCUHKビジネススクール

CUHKは、香港の北方に位置するUniversity駅に本キャンパス(駅の目の前)と、香港中心部のCentral駅にサテライトキャンパス(駅から徒歩3分)を構えています。MBAプログラムは他北米の学校同じく国際認証を受けており、基本的に学ぶことは同じと言われます。差別化として、CUHKでは特にFinance、Marketing、Entrepreneurship、China Businessの領域に力を入れています。

CUHK MBA Class of 2016
アジアビジネスを志す者が集まります
例えば、私が専攻しているEntrepreneurship領域のNew Venture Business Projectの授業では、アジア起業家間で高名なWilton Chau教授等、複数の講師が30名の学生を交代指導。起業前準備、資金繰り、成長戦略、実例紹介、アジア地域ならではの注意点など、学びます。同時にチーム毎に現存スタートアップ企業の資金繰りを目指し、欧米・日本・シンガポール等から集まる投資家に資料提出やプレゼンを行います。私は元科学者・HPのマーケター・弁護士とチームを組み、再生医療分野のベンチャー企業を担当。最終的に投資をこぎつけました。

在学中に起業する学生も多く、授業での学びと学内無料インキュベーションセンターを活用して、私の代のクラスメイトのうち5名が起業しています。

MBAの授業は英語で行われていますが、学内に語学スクールがあり、北京語・広東語の集中受講も可能です(別料金・MBA単位認定外)。

学生のマジョリティ、そして就職希望先が異なる

アジアとアメリカの学校の違いとして、クラスメイトのマジョリティと就職希望エリアが異なることも挙げられます。

まず、クラスメイトのマジョリティについて。アジアの学校の学生のマジョリティはアジア人で、アメリカの学校の学生のマジョリティはアメリカ人と言われています。エモリーでは6割程度がアメリカ人で、香港にあるCUHKは多くがアジア人です。実際、CUHK MBA Class of 2016のクラスメイトは72人で、約20カ国から集まり、構成は中国17人、インド13人、北米6人、台湾5人、日本3人、ドイツ・韓国各2人、あとは各国1人です。

CUHKの学生の出身大学の一例ですが、New York、Wisconsin-Madison、Toronto、ESB、Manchester、Peking、Tsinghua、Taiwan、Bangalore、Mumbai、Chulalongkorn、Philippines、Tokyo大学等。職業経験は平均5.3年。出身業界は様々で、金融ならHSBC、UBS、中国四大商業銀行、四大監査法人等。メーカーはIBM、Samson、Tata等。そのほかコンサルタント、起業家、弁護士、会計士、医師、モデル、ソムリエ、育児中主婦もいます。毎年、他校から交換留学生も来ます。CUHKの交換協定先は現在のところエモリーをはじめ、北米ではDUKE、KELLOGG、ROSS、UNC等、ヨーロッパではESADE、HEC、LBS等、アジアではICS、Indian Institute、NUS等で、エモリーからCUHKに交換留学した際は上記学生とともに勉強します。

続いて、学生の就職希望先について。これはビザの問題にも関係していますが、エモリーではアメリカや周辺国で、CUHKではアジアで働きたいという人がとても多い印象です。裏を返せば、自分が将来働きたいエリアをもとに学校を選んでいる人も多い、ということです。


CUHK MBA生の一日

CUHKは、北米の学校同様2年在学可能ですが、キャリアの空白時間を少しでも空けたくない学生が多く、そのほとんどが12~16ヶ月で卒業します。授業は、3ヶ月かけて週1回3時間授業を12回履修します。図書館が24時間空いており、徹夜する学生もいるようです。また、チームワークをとても重視しています。MBAオフィス側の主導で、経験職種・国籍が異なるようなメンバー構成を行うため、同じクラスメイトと複数回チームを組むことは滅多にありません。日本人とチームを組むこともなく、私も日本語を話さない週がほとんどでした。交換留学生のチリ人と組んだこともあります。

また課外活動も盛んで、私の代はコンサルティングクラブ、マーケティングクラブ、ラグジュアリークラブ、スポーツクラブなど10の学生クラブが立ち上がりました。例えばJapan Clubでは、香港において、日本銀行、野村證券、日清食品、ヤクルトの現地責任者の講演会や工場訪問を主催しました。また、就職活動中の学生が、シンガポールやシンセンに企業訪問ツアーを行うこともあります。もちろん交換留学生も参加可能です。
2015年Fall TermにCUHKに交換留学で来た
留学生の歓迎会(左から2人目は副学部長)

学校による交換留学生サポート

基本的にCUHKフルタイムMBA生と同じ扱いで、それにプラスして交換留学生対象の歓迎会、キャンパスツアー、生活立ち上げ支援や履修授業アドバイスなど行われています。

また、学校一部費用負担で現地企業訪問ツアーや、中国本土・マカオ・オーシャンパークへのツアー、CUHK MBA卒業生との懇親会、スポーツ大会などが行われ、学生の興味に応じて参加可能です。

家族として暮らす香港

続いて、妻から見た香港をご紹介します!

「主人も私も香港渡航前は海外に住んだことがありませんでしたが、そんな私たちでも香港はとても過ごしやすい場所でした。

街中が中華街!学内でも飲茶が食べられます
湿度と地価が高いことが難点ですが、香港人は皆さんとても親切です。CUHK MBAオフィスの香港人の方は、私たちの家の最寄の現地市場での食材の買い方や料理の作り方を教えてくれに家に何度も来てくれたり、車内の見知らぬ人も子どもをあやしてくれたりします。

街中での言語は広東語、北京語、そして英語が入り混じります。街は東京の山手線沿線のような便利さで、家から10分も歩けば、飲茶が美味しい中華料理店や、郷土料理店、喫茶店など現れます。主人は四川鍋やモツ煮込みスープ、子どもたちはゆで餃子やマンゴースイーツ、私は中華粥や冬瓜スープなど好きでした。世界中のレストランが出店しているので食べ物には困らないと思います。

お子さんが和食が恋しくなっても大丈夫です!地元スーパーに日本米、お豆腐、梅干、納豆まで揃います。輸入関税・消費税・酒税(30度以下)がないので、日本のアルコールも日本の半額程度です。SOGOやAEON、セブンイレブン、吉野家、大戸屋、牛角、和民、世界の山ちゃん、俺の割烹、嵯峨野、また日本語の本を取り揃える書店もあります。なにより私の好きなラーメンが豊富で、一風堂、一蘭、一幸舎、豚王、武蔵、味千、三田製麺所、漁場台風などのお店が点在しています。スーパーでは色々な種類のカップ麺も購入でき、ラーメン好きにはたまりません!

医療レベルは日本と同程度と言われています。医療費は香港政府が一部負担しているため、日本より安価です。我が家も子どもの予防注射や怪我、高熱等で何箇所か利用しましたが、医師は欧米のメディカルスクールで学んだ方が多い印象で、薬はドイツ、アメリカ、日本のものを使用していました。ビザを持つ交換留学生やその家族であれば、例えばの話ですが、救急車で地元の総合病院に運ばれ、手術を受け1週間入院しても、請求額は1万円以内です。日本語の通訳も無料で付けられます。ただ、救急でないと待ち時間が2~3時間になることが多いので、予約すれば待ち時間がない民間クリニックがお勧めです。事前に保険に入っていれば支払はキャッシュレスです。
1904年開通の2階建て香港トラム
お勧めは屋外市場を突っ切る北角
行き

公共交通機関も発達していて、150円もあれば香港内の大抵の場所に行けます。タクシーは日本の半額程度なのと自動車税が高額なので、車を持つ人はごく少数派です。治安は日本と同じく良好で、特に香港マラソン間近になると深夜でも女性1人でのジョギング姿を見かけます。子どもの遊戯施設や日本人運営プレイグループも、香港中に点在しています。夏は蛍を見られますし、ハイキングコースや透き通る海、離島行きフェリーも充実しています。周辺エリアへのアクセスも良く、私は三亜ビーチやマカオ、海洋王国が好きでした。香港は家族にとってとても暮らしやすい街だと思います」(妻・Yoko談)

いざ、交換留学へ

エモリーに入学すると、アメリカでの学びにプラスして、交換留学するチャンスが用意されています。会社派遣の方も、興味があれば一度会社と交渉する価値があると思います。エモリー交換留学先のCUHKビジネススクール(香港中文大学)でお待ちしています。

それでは再見(さようなら)!

Keiichi

毎晩8時から15分間、ビクトリア・ハーバーで行われるシンフォニー・オブ・ライツ(ギネス記録)