米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2010年9月28日火曜日

秋学期のお気に入り授業

秋学期が始まり、早くも1か月が経とうとしております。2年生の秋学期は、コア科目は1科目のみでよいため、選択科目中心の履修となっています。今回は、選択科目の中で一番のお気に入り、"Illiquid Frontiers in Alternative Investments"をご紹介したいと思います。



お気に入りの理由はいつくかあります。



・夜間クラス

他の学校のことは詳しくわかりませんが、エモリーにはEvening MBAという社会人向けのMBAもあります。本科目は、彼らも出席できるように夜間の開講となっています。通常の授業は週2回(各75分)ですが、夜間クラスは週1回(150分)のみです。これをどう捉えるかは個人差があるかと思いますが、夜型人間の自分にとっては、比較的、楽に感じるスケジュールでもあります。



・受講生

上記のとおり、Evening MBAの社会人も出席しています。このほか、学部生(エモリーの学部は全米でも有数のトップ校だからか、若いのに優秀な学生が多いです)、さらには、Joint Degreeプログラム(ロースクールやメディカルスクールとビジネススクールをかけ持ちで受講するシステム)の学生なども混じっており、昼間の授業とは違った雰囲気があります。



・教授 (Dr Mark R. Bell)

レクチャーと関係のない項目ばかり書いてしまいましたが、もちろんレクチャーも秀逸です。マッキンゼー、大手ヘッジファンドなどの経歴がある同教授は、アトランタを拠点に活躍する現役の投資家でもあります。蝶ネクタイをトレードマークにしており、ルックスこそは一見風変わりな印象ですが、レクチャーに関しては、自らの投資経験をふまえて、難解なオルタナティブ投資を実にわかりやすく解説してくれるため、ファイナンス専攻外の学生にも十分価値のある内容です。講義以外にも、学生との個別面談をしてくれたり(もっぱら野球の話ばかりで盛り上がってしまいましたが…)、フィールドトリップを企画してくれたり、様々な形で学生のことを考えてくれる教授です。







肝心の講義内容ですが、講義タイトルのとおり、伝統的投資商品との相関性が低い非流動性資産、とりわけ、森林、石油代替エネルギー、災害再保険、絵画等について、"流動性リスク"の観点から投資分析を試みるものです。



先日の授業は、"Timber Investment"がテーマでした。事前にケースを読んで各チームがレポートを作成し、授業では、投資する派、しない派にわかれてのディスカッションが繰り広げられました。ディスカッションを促進するという名目(?)で、無料でビールまで配られて(!)、にぎやかな雰囲気で授業が進みました。

わがチームは、Timberと他資産との相関分析、効率性フロンティアの分析を行い、適正なアセットアロケーションを組むこと等で流動性リスクも極小化できる、というアプローチをとり、”投資する”との結論を導きだしましたが、中には、環境問題の高まりを背景に、近い将来木材の需要が大幅に減少し、木材価格の下落が起きるはずだ、というアプローチから、"投資しない"と結論付けるチームもいました。ファイナンス技術ではなかなか説明のできない”流動性リスク"を投資判断にどう結び付けるか、改めて、その難しさを実感した授業でした。





さて、このクラスですが、学期末に、個人課題として、新規のオルタナティブ投資(案)を提出しなければなりません。独創性のない自分は、いまだいいアイデアが浮かばずにいます。日本好きな教授が何か好きそうなネタはないか、などとずる賢いことを考えて、日本のニュースをチェックしている今日この頃です。



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