米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2013年4月5日金曜日

アメリカの1年制MBAについて

 
Emory1年制MBAのTomoakiです。
 

さて、来年のMBA受験に向けて、何人かの知り合いから1年制MBAについてお問い合わせをいただきました。

欧州では多くの1年制MBAを見かけますが、アメリカの1年制MBAは希少なので、僕も探すのに苦労しました。

ですので、今回はアメリカの1年制MBAについて、昨年6月入学直後に既述した記事を一年たってアップデートしてみたいと思います。
 
1年制MBAを探す際にご活用いただければ幸いです。


まずはアメリカで1年制MBAを募集しているMBA一覧です。

1.Kellogg (Northwestern)
- トップ校としては珍しく1年間MBAを採用して、internationalの生徒は5割程度です。トップ校だけあって、コンサルティング経験者や他のMBA卒業生などが多いと聞いています。

- キャンパスはシカゴ郊外のEvanstonにあり、古風な街並みに緑豊かなキャンパスで勉強できます。ただ、冬はとても寒いです。。
- GMATやTOEFLの点数だけでなく、個人の性格がKelloggにあっているかなど、Applicationで個々人の性格も見ており、出願した全員に対して面接を行うというスタイルをとっています。
-経済やマネージメントなどの授業を受講済みでないと、そもそもApplicationできないため、GMATの点数だけが高くても、入学できません。

-僕は、昨年Northwestern大学のLawschoolにも在籍していましたが、とてもいい大学です。Kelloggの友達に聞くと、2012年度は久しぶりに日本人が入学しました。ひょっとしたら、今後門戸は広がるかもしれないですね。

2. Sloan (MIT)
-こちらもアメリカを代表するトップ校です。
-Sloanの1年制は、毎年100人程度で、だいたい10人が日本人とのことです。
-企業派遣が条件で、勤務経験が最低10年必要であるため、若手向けというよりも30代が中心になると思います。
-キャンパスがいわゆる「シリコンバレー」の傍にあるので、起業家やIT関係者とも懇意になれる機会があると聞きます。

3.IBEAR(University of South California)
-IBEARというinternational student向けの1年制プログラムです。LAにあります。
-僕もキャンパスビジットしましたが、クラスの規模は60人程度で、平均33歳。カリフォルニアらしい和気藹々とした雰囲気のクラスでした。
-基本的にアメリカ人よりも、international studentが多いので、多くの国籍の人と知り合いたい人にはすばらしい大学だと思います。
-特にAdmissionが日本人の方なので、日本人にとってapplyの敷居は低いと思います。

4.Thunberbird
-International businessで有名な大学です。
-“Global management”など、多くの授業に”global”という形容詞がつくくらい海外ビジネスに特化しています。Undergradや他学部が存在せず、MBAのみで成り立っています。
-大学の性格からか、海外で仕事をしたいという国際感覚あふれた生徒が多いと思います。
-アリゾナ州・フェニックスの近くにあって、小さいながら綺麗なキャンパスに囲まれた大学です。

5.HULT
-近年成長してきているMBAです。
-サンフランシスコ、ボストン、ドバイなどにキャンパスがあって、在学中にキャンパスを変えて勉強することが可能です。
-授業の内容は高度だと聞いていますが、その反面、知名度がまだ少ないため、今後成長が期待されるMBAです。

6.Goizueta(Emory大学)
-僕が在籍しているMBAです。
-詳細は他の記事などを参照していただければですが、アトランタに拠点を置いているので、1年制プログラムではアトランタ出身者が多いという印象があります。

 他にも、学費が安くコストパフォーマンスがよいピッツバーグ大学のkutz、起業に強いボブソン大学、フットボールで有名なノートルダム大学などが1年制MBAを採用しています。
また、コーネル大学にも、理数系大学の卒業生のみを対象にした1年MBAがあります。


 次に、1年制プログラムのメリット・デメリットはどのような点が挙げられるのでしょうか。まずメリットは、次の通りです。


<メリット>
1.学費が安い。
-なんといっても、授業料が安くすみ、生活費も半分になるというのが魅力です。
-エモリー大学の1年制プログラムの学費は、$66,000。単身の場合、1年間の生活費が$32,000なので、合計$98,000で卒業できます。
-一方、2年制プログラムだと、学費が$87,000、2年間の生活費が$64,000で合計$150,100かかる計算になります。差引きで$50,000程度は安くなりますので、特に私費留学の方にはお勧めです。

2.クラスの人数が少ないため、仲良くなれる。
-例えば、エモリーMBAの1年制プログラムでの人数は48人です。2年制の生徒は1学年150人程度なので、その1/3程度になります。
-エモリー大学に限らず、どの大学も1年制プログラムは人数が少ないので、かなり生徒同士が親密になれます。例えば、Kelloggでも1年MBAは夏に1年制だけの授業があって、そこで仲良くなります。
-特に、エモリー大学では、1年制プログラムの場合、夏に”Summer Program”という3ヶ月間の集中講座が開かれるので、毎日顔を合わせるうちにかなり親密になれます。

3.クラスメイトに目的意識がある。
-1年制MBAのアメリカ人の話を聞いてみると、1年制プログラムのMBAのみにapplyしたという話をよく聞きます。1年制プログラムを選んだ理由は、学費が安い・長い間仕事から離れたくないなど人によって様々ですが、目的意識をもって1年制というプログラムを選んでいる人が2年制と比べて多いため、話をしていてとても勉強になります。
- MBAというレベルの高い環境の中でも、総じて1年制MBA生徒とは話していて、考え方や人との接し方がとても勉強になります。

4. 卒業後、2年制プログラムと同じ資格を貰える。
-1年制プログラムの卒業生も、2年制と同様の「MBA卒業生」という資格を貰えます。
-昔は、1年制と2年制の学生で就職活動をする際に、2年制の方が優遇された場合もあったようですが、現在では、1年制プログラムが普及してきたため、「1年制プログラムを選んだ理由」をきちんとプレゼンできれば、就職市場でも違いはなくなってきています。


とはいえ、逆にデメリットもあります。
それは、、、


<デメリット>
1.クラスの人数が少ない
-既述ですが、エモリー大学1年制のクラスは48人しかいません。これは卒業後のことを考えれば、デメリットにもなりえます。
-MBAのメリットの一つに、「人脈づくり」がありますが、特に在学中に仲良くなった生徒は一生モノの仲間として付き合えることができます。 その観点から、1年制はクラスの人数が少ないので、在学中の知り合いを増やす機会が2年制と比べて少なくなります。
-とはいえ、これは個人の努力でカバーすることも可能です。例えば、1年制の生徒は、夏学期が終わった後、2年制プログラムの生徒たちに合流することになります。そこで知り合いを増やすことが可能ですし、授業外のパーティーや部活動といった場での交流も可能です。

2.就職活動期間が短い。
-通常、2年制プログラムの就職活動が本格的に始まるのは、入学後半年程度たってからですが、1年制プログラムの場合は、入学した瞬間から就職活動が開始します。
-1年制プログラムの”Summer Program”は、結構ハードなので、授業をこなしながら、レジュメづくり、模擬インタビューなど就職活動の準備を始める必要があって、かなりあわただしい印象があります。

3.インターンシップができない。
-就職活動に欠かせないのがインターンシップ。夏季休暇など休みの時期に、実際に企業で働いてみるというプログラムです。
-インターンシップで採用が決まるケースも多いため、就職活動プロセスで重要視されています。2年制プログラムの場合、インターンシップを行う学生が多いです。
-1年制MBAは時間がないため、インターンシップができないまま、就職活動をする必要があります。

4.授業数が少ない
-最後に、1年制は2年制に比べて、7割程度の授業数しか取れません。
-できるだけ知識を習得したいという方にとって、この点はデメリットになりますが、逆に1年間で2年分の授業 の7割をこなすというのは、それなりの努力が必要になります。


 以上、長くなりましたが、1年制プログラムについて書いてみました。

もし、アメリカでの1年MBAをお考えの方がいれば参考にしていただければ幸いです。