米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2014年3月17日月曜日

Social Enterprise@Goizueta MSM Trip in Central America(ニカラグア編)

こんにちは!Class of 2015のグッチです!前回の投稿でやっしーが書いている通り、2月の最終週から3月の第1~2週にかけてMSM(Mid-Semester Module)が実施されましたが、私と、同じくClass of 2015のMATことまっちゃんは2月27日(木)~3月10日(月)の日程で中米トリップ(ニカラグア&コスタリカ)に参加してきました!

このトリップは「Social Enterprise@Goizueta」という、社会的企業をテーマとした学内プログラムにより主催されているもので、同じ国へのMSMトリップが複数年連続して行われることが珍しい中、2010年から続いています。引率教授はSocial Enterprise@GoizuetaのAcademic DirectorであるPeter Roberts教授で、専門分野はOrganization & Managementです。

旅のスタートはニカラグアから。首都のマナグア(Managua)まではアトランタから直行便で4時間ほどです。ニカラグアでの旅程は、Comunidad Connect(コミュニダッド・コネクト)というNGOによってアテンドされました。この団体は、アトランタ出身の男性を含む数名によって設立され、ニカラグアの海辺の観光都市サン・ファン・デル・スール(San Juan del Sur)を拠点に、ニカラグアの人々が自力で経済発展を遂げるための様々なサポート(特に、国外の人々との「つながり」を作る支援)をしています。2010年にこのトリップが始まったのは、Social Enterprise@GoizuetaとこのNGOの出会いがきっかけだったようです。

最初の3日間はニカラグア中西部にある山あいの町ヒノテガ(Jinotega)にある、Comunidad Connect所有の農園のロッジに宿泊しましたが、非常に美しい自然に囲まれた場所でした。



ここを拠点にした3日間で行った活動は、主に次の2つでした。

<地域の民家にコンクリートの床を敷設>
Comunidad Connectでは、衛生的な飲料水の確保のため、各家庭が行った地域奉仕(Community Service)に応じてろ過装置を提供する「Nica agua(ニカ アグア)」というプログラムを実施していますが、すでにろ過装置を保有している世帯に対して、更なる衛生環境の向上のため、コンクリートの床を敷設するサポートを行っています。私たちも実際に砂を運び、シャベルを使ってセメントや水と一緒に混ぜるという作業を手伝いました。



<ニカラグアのコーヒービジネスについて学ぶ>
ニカラグアの主要な輸出品目であるコーヒーですが、小売店での販売価格からブローカーの取り分や中間工程での諸経費を除くと、生産者が全くと言っていいほど利益を得られないことがほとんどというのが現状。
そんな中、Social Enterprise@GoizuetaがComunidad Connectと協力して立ち上げをサポートしたSocial Enterpriseに「Farmers to 40」というものがあります。これはその名が表すように、「小売価格の40%(諸経費控除前)を生産者に」を実現すべく(現状は20%未満)、適正な価格設定に合意可能なバイヤーとのマッチングなどで生産者を支援しています。
Comunidad Connectの農園やその他の有機栽培農園、収穫後の工程を実施する施設を見学し、関係者の方々にお話を伺うことでニカラグアにおけるコーヒービジネスの現状について学び、あるべき姿について考えました。



ヒノテガのロッジに別れを告げ、次は国内随一の歴史観光都市であるグラナダ(Granada)へ。ここでは1泊だけでしたが、「Hotel con Corazon」というホテルに泊まりました。このホテルは、利益の100%を地域の初等教育完遂率向上のためのプログラムなど、自ら行う教育事業に投資しているとのことでしたが、施設もサービスも非常に質の高いものでした。


本トリップの主要なプロジェクトの1つに、グラナダとサン・ファン・デル・スール(グラナダの後に3日間滞在)における、(旅行者向け)手芸品等のマーケット調査(商品概要、価格、展示方法、販売促進策など)がありました。サン・ファン・デル・スール郊外のコミュニティーを拠点とする女性たちの集まりが、自分たちの作った商品の販路を求めている中、そこに対して、これらの町のマーケットがどのような様子かという情報提供をすることによって支援を行おうというComunidad Connectのプロジェクトがあり、私たちは2つの町で単なる旅行者の振りをしてこれらの情報を集めるという形でサポートしました。

サン・ファン・デル・スールでは現地のご家庭に3日間ホームステイをさせて頂きました。言葉がスペイン語なため、言語によるコミュニケーションはかなり限られてしまいましたが、それでもホストファミリーは私たちを本当に暖かく迎え入れてくれました。
ホームステイを通して現地の方々の暮らしを肌で感じることができました。また、道路の地下を通る水道管の破裂による丸1日間の断水も経験しました。ありきたりですが、日本においてもアメリカにおいても、私たちがいかに恵まれた生活をしているかということを、改めて実感しました。

この町に滞在中はマーケット調査のほか、上記の女性たちの集まりと交流を持ち、彼女たちの現状や今後に対する考えについて話を聞く機会や、現地の子どもたち(小~中学生)に英語を教えるComunidad Connectのプロジェクトの特別版として、その他の外国語(中国語、フランス語、日本語、イタリア語など)を教えたり、その後一緒に遊んだりする機会を得ることができました。
日本人が2人いたので、私は大学のとき第2外国語として履修し、その後も興味があって少しずつ学んでいるイタリア語の簡単なあいさつなどを教えましたが、スペイン語とイタリア語はとてもよく似ているため、言葉によっては子どもたちが非常に面白がっているようでした。
子どもたちが学んだり遊んだりする環境は、良いとはとても言えないようなものでしたが、彼らは本当に生き生きしていました。彼らが、母国の未来を自らの手で切り拓く、その手助けができればと強く思いました。


ここまで読んで頂いておわかり頂けたかと思いますが、非常に中身の濃い、有意義なトリップでした。というのも、この時点でまだ全12日間の行程のうちニカラグアでの7日間を終えたのみで、この後にコスタリカでの5日間を残しているのです!すでにかなり長い投稿になってしまっているので、コスタリカ部分については近日中に別途投稿させて頂ければと思います。

「社会的企業」は、日本でも近年注目を集めつつある分野かと思いますが、本を読んだり、話を聞いたりするだけでは、どのようなものであるかが今ひとつピンとこないところがあるものでもあると個人的に思っていました。しかし、このトリップを通してニカラグアという国の現状を目の当たりにし、また、Comunidad Connectの理念とその活動に共鳴するものを感じたことで、社会的企業の発展途上地域における意義について(発展途上地域に限らないのかも知れませんが)、深く理解することができたように思います。

GoizuetaにはMP Electiveにおける実際の企業との関わり等、Hands-on Experienceの機会が多くありますが、MSMのInternational Tripsもそれらの中の大きな1つではないかと思います。こうした点でGoizueta MBAは、「身に付けた理論や知識が、実際の社会のどんな場面でどのように活用できるのかを常に考えながら学びたい」というあなたにとって、ベストなプログラムと言えるのではないでしょうか。

ここには書き切れないエピソードや学びもたくさんありました。ご興味を持って頂けた方は、日本人在校生メーリングリストまで、是非ご連絡下さい。

それでは、サン・ファン・デル・スールのビーチから見える美しい夕焼けで締めくくりたいと思います。


Class of 2015
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