米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2015年8月23日日曜日

”他校との比較”の観点から、Why Emoryを考えてみる

 こんにちは。Class of 2016のKokoroです。

 2016年入学を目指されている方にとっては、GMATにも着手し、エッセイ作りも本格的に視野に入れつつある大切な時期かと思います。さて、エッセイにおける一つの重要なパートとして”Why this school?"がありますが、これは同時に作成がとても難しいところだとも思います。それもそのはず、”Why this school?"の作成者にとっては”他校との比較”が重要な視点となるものの、複数校のMBA受講経験者は極めて限定的であり、従ってアラムナイの方にお話を伺っても”他のプログラムは分からないけどうちの大学は・・・"とのdisclaimerが付された上で"Why this school?"の説明がなされることが多いことも一因にあるかと思います。

 そこで本稿においては、”他校との比較”を意識しつつ、夏期短期交換留学を経て感じたEmoryの魅力(そして自戒も込めた改善の余地がある箇所)について述べさせて頂きたいと思います。

 拙稿"国際経験の拡充"との視点から、Why Emoryを考えてみるにて述べさせて頂いた通り、夏期休暇期間に多様な短期交換留学の機会がある中において、私は7月に実施されたViennaの3週間プログラムに臨みました。本稿においては授業の内容には深く立ち入りませんが、Emoryと”他校との比較”との観点から必要な基本的な概要は以下の通りです。

【(私の)履修科目】
International Marketing、International Financial management、Sustainable Business 

【学生の構成】(各数値は概算です)
 計35名程度。
 国籍:アメリカ人25%・カナダ人20%・フランス15%・中国10%程度であり、残りはオーストラリア・ブラジル・シンガポール・ドイツ・ハンガリー・日本が各1名。
 履修時点におけるバックグラウンド:フルタイムMBA(卒業直後を含む)が50%程度、社会人且つEvening MBAが40%程度、残りが社会人の休暇を利用した短期留学。なおEmoryからの短期留学は私のみです。

【担当教授の構成】
 夏期短期交換留学を担当された方は皆がVienna大学専属の教授という訳では無く、他大学(チェコやフランスの大学等)と掛け持ちで教えている方、環境関連コンサルとの兼業の方、等がおり、教授の雇用においても多様な形態が取られていました。

(※これらの前提を踏まえ、以下に記載させて頂く内容はあくまでも(漠然とした概念としての)”他校との比較”であり、Vienna大学(の生徒・教授)との比較では無い点ご了承下さい。)

”他校との比較”を踏まえたEmoryの魅力その①
「プレゼン手法に係るトピックを体系的に学ぶ機会が充実している」
 上記3つの履修科目全てにおいて、グループワークとしてのプレゼンテーションの課題が課されていたところ、3週間の間に多くのプレゼンを見聞きする機会がありました。(もちろん個々の技量・バックグラウンドに因るところが大きい話でもあるのですが、)通常時におけるEmoryの授業における学生のプレゼンも踏まえると、客観的に見てEmoryの学生にはプレゼン実施時の”型”のようなものが身についているな、という印象を受けました。Emoryにおいては、コア科目であるManagement PracticeやGMSC(過去記事)等においてプレゼン手法について学ぶ機会があります。理論的側面においては、立ち位置や繋ぎのやり方等プレゼンに係る一挙手一投足に至るまで学ぶことができ、また、実践を通じてプレゼンの専門家からのフィードバックを受けることもできる等、Emoryにおけるプレゼン関連トピックの充実具合に改めて気づかされました。(アメリカ人の友人も、夏期インターンを通じてEmoryの学生のプレゼンレベルの相対的高さに気づいた旨の発言をしていました。)

”他校との比較”を踏まえたEmoryの魅力その②
「教授の授業運営能力が高い」
 二つ目として、Emoryの教授の授業運営能力の高さが挙げられます。私たち日本人にとり、大学教授は研究の片手間に授業をやっているというイメージが強いのですが、Emoryの教授はProfessorというよりもLecturerの色合いが強く、まさに教えることを本業とされている人が多い印象を受けます。”比較”との観点から述べると、例えばケースを用いた授業の運営のレベルに明確な差を感じました。Emoryの教授は、多様で時にはエキセントリックな意見をも建設的に取り込み、限られた時間の中において納得感を以て理論と現実の関係性を理解させる能力が高い、ということです。Emoryにおいては全ての授業において学生による授業採点がなされ、これが後に公開されるといったインセンティブが存在するところも一因かと思われ、実際学生からの評価が低い教授は容易に更迭されているようです。

”他校との比較”を踏まえたEmoryの魅力その③
「Diversityの重要性が浸透しており、これに対する配意が十分になされている」
 EmoryはCore Valueの一つとしてDiversityを掲げており、学生の間にもこの理念が浸透しています。大学としてもこれを踏まえた運営がなされており、例えばMBAの一学年全員が集まる機会において、教授がアメリカ人学生に対して「君たちはSecond LanguageにてMBAの高度な内容を学ぶことができるのか?おそらく答えはNoであろう。インターナショナルの学生はそれをしているのだ」との意識付けをしてくれたり、これを受けてアメリカ人学生もインターナショナルの学生の意見に確りと耳を傾けてくれます。(この点、英語の拙い私にはとても有難い環境だと思っております。)また、Electiveの授業にて任意にチームを組成する場面においても、性別・国籍のDiversityが義務付けられたりもします。
 ”比較”との観点から述べると、このような環境は必ずしも当たり前のものでは無いようで、Vienna大学においては英語がNativeの学生だけで議論して終わり、との場面も多々見られましたし、同じ性別・国籍の人のみで構成されているグループも多くありました。

 ここまでEmoryの相対的な魅力との観点から述べさせて頂きましたが、私は本稿においてEmoryが完璧な大学であると述べるつもりは全くありません。今次短期交換留学を経て、Emoryにおいては「アメリカ人依存に陥る可能性が高いことを念頭に置きつつ、日本人として主導権を発揮する機会を模索する」必要があるのだなということにも気づかされました。拙稿"国際経験の拡充"との視点から、Why Emoryを考えてみるにて記載させて頂いた通り、Emoryは米国の大学としてはインターナショナル比率が高い方であり、この点大きな魅力だとは感じています。ただ、半分以上がアメリカ人であるという捉え方も可能であり、例えば「優秀なアメリカ人に取り纏めをお願いしつつ、自分は特定の分野に注力しよう」といった逃げの姿勢に繋がりがちな側面も否めません。先述の通りVienna大学においては過半数を占める国籍の学生はおらず、このため語学力や国籍に関わらず主体的にリーダーシップを発揮するべき機会が多々ありました。この点アプリカントの方は、大学選びに際して国籍の比率が齎すパワーバランスも考慮されるといいかもしれません。

 以上、夏期短期交換留学における経験を踏まえ、”他校との比較”との観点から寄稿させて頂きました。冒頭に述べました通り、”Why this school?"は難しいトピックでありながらも重要であり、エッセイのみならずインタビューにおいても問われる内容でもあります。本ブログにおいても多くの学生がEmoryの特色につき述べていますが、何か個別のご質問がありましたら、遠慮なくこちらまでお問い合わせ下さいね!

Kokoro