米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2015年12月14日月曜日

アメリカ・アトランタでの出産!

皆さまどうも、Goizueta Class of 2016のはりーです。

みなさんは、12月の半ばとなり、出願資料(エッセイ)の準備にかかりきりかもしれません。
インフルエンザ等も流行る時期なので、まずは健康第一に頑張ってください。応援しています。

さて、出願関係の情報とは少し違いますが、志望校選定のための情報として
今回はアトランタの暮らしについてご紹介します。

内容はずばり、アトランタでの出産についてです。

私と妻は、MBAの夏休み期間中の7月の終わりに、第二子となる女の子をアメリカで出産しました。今回はその時のことを書きたいと思います。

そもそも、私はMBAの隠れた目標の一つとして
アメリカで是非とも子供を授かりたい(奥さんに生んでもらいたい)と
思って渡米してきました。

と言うのも、一緒に渡米してくれた妻は、入学時点では長女の出産に伴う育児休暇中であり、
そのままでは2年目の12月に休暇が終わり、復職のために一足早く日本に帰る必要がありました。

そこで、何とかアメリカで第2子を授かり、産休・育休を延長し、
私の卒業まで家族一緒に過ごしたい!!!と思いながらアトランタにやって来て
まさに、計画通りに子供を授かる事が出来ました。

慣れない外国での出産となり、妻には不安な思いをさせてしまいましたが
出来るだけ安心出来るように徹底的に情報を調べました。

みなさんが同じ立場になった場合に、参考になる部分もあるかと思いますので、
ここでアメリカでの出産に伴う情報を共有させて頂きます。
(特に、我が家は日本とアメリカの両方で出産を経験しましたので可能な限り日米の対比をしながら記載します。)

*2015年12年時点での情報であり、かつ、私が自分で集めた情報であるため、
 将来的には変更になったり、そもそも認識が間違っている情報が混じっているかもしれませんがご了承ください。


Ⅰ.日米での出産方式の違い

   日本では自然分娩が一般的ですが、アメリカでは99.9%無痛分娩です。
 
   昔ちらっと、この違いは宗教的なもので、仏教徒が多い国では普通分娩がほとんどで、
   キリスト教徒の多い国では無痛分娩が多いと聞いたことがありますが、真偽のほどは
   定かではありません。
 
   しかし、妻曰く、出産に伴う痛みは、無痛分娩は自然分娩の千分の一くらい。もう、
   無痛には戻れないわ!とのこと。

   出産に付き添った立場から見ても、日本で無痛分娩を終えた後の妻は、
  まるでマラソンを走り終えた後のようにゲッソリしていたのに、今回はお肌テカテカ。
  めちゃめちゃ元気でした。
 
   また、日本で出産する場合は、産後に1週間近く入院し母体の回復を待ちますが、
   アメリカでは、無痛分娩は体への負担が低いため、出産後2日目には退院させられます。
 
   そう言えば、イギリスのキャサリン妃は日帰り出産でした。イギリスはもっとシビアですね。
 
   裏を返せば、日帰り出産できてしまうぐらい無痛分娩は、母体に負担が無い出産方式
   のようです。


Ⅱ.医師・病院の探し方

   日本では妊娠がわかると、どの病院で出産するかを考えることはあっても
   どのお医者さんに取り上げてもらうを考えることは、ほとんどありません。
 
   一方で、アメリカでは、まず出産に立ち会ってくれる医師を探す必要があり、
   その次に出産場所となる病院を探します。
 
   これは、アメリカの医療保険の仕組みに伴うものです。
   アメリカの保険会社は、各社共に自社の保険が適用される医師・病院のグループ(ネ
   ットワーク)を持っており、大きく分けると下記2種類の保険商品を提供しています。
 
   ①そのネットワークの中でのみ保険金が適用される保険
   ②ネットワーク内外にかかわらず保険金が適用されるが、ネットワーク外の場合、
   保険金額が低くなる保険
 
   そして、医師の一人一人は、どの保険会社のネットワークに入るかを自分で選択しており、
   A社の保険は適用されるが、B社はダメなどの制約が出てきます。
   (おそらく、保険会社ごとに、医師や病院への報酬が違うためだと思います。)
 
   その為、まずは自分の加入している医療保険のネットワークに加入している医者を選択し、
   そのあとに医者と相談して病院を決める流れとなります。

  Ⅱ-1.アトランタの産婦人科医
    アトランタには、日本人開業医は居るのですが、
    日本人の産婦人科医は居ないと思います。少なくとも私は知りません。
 
    しかし、アトランタには、日本人の出産に数百件立ち会っている、
    ベテランの中国系アメリカ人の先生が居ます。
 
    非常に親身になって診てくれるため、お勧めです。
 
    Women's Health Associatesという病院の
    Dr. Winifred Soufiという先生です。
    https://www.whaatlanta.com/winifred-lin-soufi-md
 
 
    ただ、非常に人気の先生のため、紹介でのみで新規の患者を受け持っている様です。  
    下記の日本人開業医の先生と仲が良いため、診てもらいたい場合は紹介してもらうと
  良いと思います。
 
    倉岡クリニック
    http://www.kuraokaclinic.com/
 
    妊娠検査を倉岡クリニックで実施し(尿検査だけでなく、超音波検査もやってくれます)
    妊娠が確定すれば、倉岡先生からSoufi先生を紹介してもらうという流れになります。  
    (紹介料10ドル取られますが。)
 
    *事前にSoufi先生が、自分の保険会社のネットワークに所属しているかどうか、
     を確認しておくことも必要です。

  Ⅱ-2.アトランタの病院(産科)
    アトランタの医療レベルは非常に高い上に、信頼性の高い病院がたくさんあります。  
    そのうちいくつかを紹介します。
 
    ●Northside Hospital
    http://www.northside.com/
 
    私たちが出産場所に選んだ病院(下記)は、数年間連続で患者満足度全米No.1に選ば
    れており(アトランタNo.1ではなく、全米No,1です。)、アトランタに駐在する日本
    人の多くがこの病院で出産している様です。
 
    ●Emory University Hospital Midtown
    http://www.emoryhealthcare.org/emory-university-hospital-midtown-atlanta/
 
    Emory大学も医学部のレベルが非常に高く、全米の医学部ランキングベスト3の座を
    何年も守り続けています。その附属病院も非常に評判が高いうえに、Emory大学の学
    生向けの
    医療保険に入っていた場合、自己負担額が非常に少なくなります。例年、Goizuetaの
    日本人MBA生が
    アメリカで出産する場合、この病院を選ぶことが多いです。
 
    ●Piedmont Hospital
    http://www.piedmont.org/womens-services/womens-home
 
    その他、アトランタの住民の中で、コストパフォーマンスが高い人気の病院として
    上記を紹介されました。
 
    いずれの病院を選んでも、言語の面ではそれほど心配することはありません。
    移民の国、アメリカでは、法律で(大きな)病院側に通訳を用意するよう定められている様です。
    自分が通う病院に、日本語の通訳を用意してほしいとお願いすれば、
    対人、もしくは、電話経由での通訳を無料で用意してくれるため、奥様のみの通院であっても
    言語の面でさほど苦労することは少ないと思います。

Ⅲ.高齢?出産

   自分たちのことを高齢というのは若干の抵抗がありますが、
   アメリカでは(日本でも?)35歳以降の出産は高齢出産とみなされます。
 
   ちょっとセンシティブな話ですが、
   卵子には加齢による老化があり、35歳を超えると
   妊娠しずらいだけでなく、ダウン症発祥のリスクが増えるため
   病院からはダウン症の事前検査を強く勧められます。
 
   私も妻も、第二子の出産時は35歳。アメリカの病院で専門のカウンセラーと面談し、
   血液検査などのデータなどを基に妊娠に対するリスクについて色々な説明を受けました。
 
   なお、胎児の染色体検査などは任意であり、私たちは
   たとえどんなハンディキャップを持っていたとしても生む以外の選択肢は
   考えられなかったため、その旨を説明し、検査はお断りしました。
   (今回は初産ではなく、また第一子も問題なく生まれているため
    病院側もその決断に100%同意してくれました。)
 
   20代の一番体力があるうちは仕事や遊びに没頭したいという思いは理解できる
 (と言うか、私もそう思っていました)のですが、 妊娠・出産には適齢期があり、
 それ自体は医学ではなかなかどうしようもないと言うことは頭の片隅においておいても
 良いかもしれません。

Ⅳ.出産費用

   おそらく、日米で最も異なるのが出産費用だと思います。
 
   日本では市町村が産前検診の費用を全てカバーしてくれることが一般的なうえ、
   出産費用は、健康保険組合経由で出産一時金が支給され、実質タダで子どもを
   生むことが可能です。
 
   一方で、アメリカの出産費用は異常です。
   はっきり言って、医療保険に加入していないと破算レベルです。
   Emoryのマクロ経済学の授業でも、大学の学費と医療費の高騰は異常だということで
   理由の詳細な分析をさせられたりしました。
 
   実際に産前検診と出産費用で、医師・病院から保険会社に請求された金額を見てみると
   目玉が飛び出します。
 
   現地通貨で約$45,000。日本円で500万円以上。
   保険のおかげで自己負担額はだいぶ低くなりますが、未だに理解できません。
 
   なお、アメリカでは低所得者は、金銭的に出産出来ないという訳ではなく、
   州政府から低所得者向けの低価格な医療保険”メディケイド"というものが支給されていたり、
   病院には無保険者割引制度があったりします。
 
   と言いつつ、アメリカで自己破産する理由の第2位が医療費を支払えないことらしいので
   この国の医療費は、やっぱり高すぎますね。

Ⅴ.保険による出産費用のカバー

   日本では、前述の通り、出産に伴う自己負担額が実質タダであるうえ、
   出産は病気ではないという整理なので、日本の医療保険では出産費用はカバーされません。
 
   その為、留学に際して、日本から留学生保険(AIUや東京海上etc)に入って来た人は、
  出産費用は自己負担となります。
 
   *普通の病気に際しては、アメリカの医療保険よりも日本のもののほうが保証内容・保険金額
  が良い上に保険料も安いのですが、残念ながら日本で購入できる留学生・駐在員保険では、
  海外での出産費用をカバーするものは提供されていません。
 
   一方で、アメリカの医療保険では基本的に出産費用がカバーされます。
 
   オバマ大統領が定めたAfordable Care Act(通称オバマケア)のおかげで、
   どんな既往症を持っていても、妊娠が発覚した後であっても、保険加入可能期間(11月~3月)
 であれば 医療保険に加入することが可能です。
   (その他、Emory大学が学生向けに提供する保険は、8月に加入することが出来ます。)
 
   また、月々の保険料も、既往症の有無や妊娠の有無で変わることはありません。
   (収入額・年齢・家族構成によって、保険料は変わってきますが。)
 
   その為、アメリカで出産を希望するのであれば、初めからアメリカの医療保険に入ることを
 お勧めはしますが、場合によっては妊娠発覚後に現地の保険に入ることも可能です。
 
   私たちも、1月に妻の妊娠が発覚し、2月からアメリカの医療保険に加入しました。
 
   なお、一点非常に大事な情報があります。アメリカの医療保険は、入院する前には
   保険会社に入院することを申請し、入院する病院と治療内容について事前了承をとって
  おかないと保険金が出ません。(日帰り通院の場合は不要)
 
   私はこれを知らなかったので、出産の入院費として1万ドル程度自己負担になると連絡が来て
   保険会社との事後のネゴシエーションにめちゃめちゃ苦労しましたので、必ず忘れな
   いようにしてください。

Ⅵ.アメリカで生まれた子の国籍について

   ご存知の方も多いと思いますが、アメリカで日本人の両親から生まれた子は
   アメリカと日本の2重国籍保持者となります。
 
   これは、アメリカは「出生地主義」をとっており、アメリカで生まれた子にはアメリカ国籍を
 付与します。
 
   一方で、日本は「純血主義」。日本人から生まれた子には、生まれた場所はどこであれ
   日本国籍を付与します。
 
   ただし、日本で2重国籍保持が認められるのは、生まれた子が22歳になるまで。
   それまでにどちらの国籍を選択するか決定する必要があります。
 
   なお、アメリカ国籍を持つことのメリットですが、
   ・アメリカの学校に入りやすい
   ・アメリカで働く際に、ビザなどの要件不要
   ・アメリカ国籍を持つ成人は、アメリカ国籍を持たない家族のメンバーが
    アメリカ国籍や市民権(グリーンカード)をとる為のスポンサーになることが出来ます。
   ・海外旅行の際など、家族全員が、アメリカ人向けの窓口で入国審査が受けられ、ちょっと早い
    (ESTAとってたら、アメリカ人向けの窓口で入国審査が受けられるため、あまり良い
   メリットではないですが)などと言われています。

 また、近年東アジアの国々から、アメリカの国籍取得を目的に、妊娠後期の妊婦が
 アメリカにやってきて、出産したのちに帰っていく事例が増えており、妊娠後期の妊婦は
 場合によっては入国拒否されるらしいです。

 そのため、妊娠後期の留学生の配偶者が、短期の旅行に国外に出た場合、
 帰国時にVISAがあっても入国できない可能性があるという話も聞いたので
 安定期に入った後の旅行の行先には注意が必要かもしれません。

  Ⅵ-1.アメリカ国籍・パスポートの取り方
    アメリカの国籍は自動で付与されますが、戸籍と言う概念が無く、
    出生証明書・ソーシャルセキュリティナンバー、および、アメリカのパスポートを
    取ることが、アメリカでの戸籍取得に伴う手続きとなります。
 
    出産してからアメリカのパスポートを取り終わるまでに2か月以上かかる長丁場です。
 
    アメリカの病院で出産した場合、入院中に
    出生証明書およびソーシャルセキュリティナンバーの申請書を書いて
    病院に提出します。
 
    それを病院が、州のVital Record オフィスとソーシャルセキュリティオフィスに提出します。
    その結果、約3週間後にソーシャルセキュリティカードが郵送で届き、
    約6週間後から出生証明書の発行が申請可能になります。
 
    私の住むEmory大学のあるジョージア州のVital Recordオフィスでは、
    Web上経由で24時間265日出生証明書の発行を受け付けており
    出生証明書は、申請後約1週間で郵送で送られてきます。
 
    その後、郵便局(要予約)か裁判所(予約不要)で、
    両親及び申請時のパスポート申請に伴う面接を受け、費用を払い
    各種申請書類にも不備が無ければ約1か月でアメリカのパスポートが郵送されてきます。
    (帰国するためなどで、もっと早くパスポートが必要な場合は、
     追加料金を払えば、数日で発行してもらえる仕組みも利用出来ます。

  Ⅵ-2.日本国籍・パスポートの取り方
    日本国籍は領事館に出生届を提出することで取得できます。
    ただし、出産後3か月間以内に申請しないと取得できません。
 
    アトランタには総領事館があるため、そこで申請が可能です。
 
    流れとしては、
    ①アメリカの出生証明書を取り寄せます。(約6~7週間かかる)
    ②領事館で提供される指定のフォーマットで、上記出生届を
     日本語に翻訳する。(自分で翻訳すればよい。)
    ③念のため、実家から、自分の戸籍全部謄本(家族全員の情報が必要)    を取寄せる。
    ④出生届一式を提出。下記参照
     http://www.atlanta.us.emb-japan.go.jp/nihongo/shusseitodoke.html
    ⑤領事館が出生届を、本籍がある市町村に転送してくれ、約1.5か月後に戸籍に反映される。
 
    日本のパスポートの申請は、上記の戸籍への新生児の情報が反映されたのち、
    日本から戸籍謄本を取り寄せたのちに実施することになります。
 
    申請書類、写真やVISAなどの必要情報がそろっていれば、
    申請後5営業日目途でパスポートが交付されてるので、取りに行くことになります。  
 
    日米のパスポート取得に関しては、下記HPが参考になります。
    http://homepage3.nifty.com/myro_room/S_paperwork2.html

Ⅶ.最後に

   我が家にとって、次女の出産は、この留学中に経験した最大の異文化体験となりました。
 
   お金も手間暇も非常にかかりましたが、
   第一子を授かるまでに、結婚後6年もかかった私たちには、狙い通りにすんなりと次女を
  授かったことは夢の様でした。

  また、夏休み中の出産となったため、夫婦で協力しながら出産準備を進められたことは
   非常に良い思い出になりました。
 
   子どもは授かりものなので、なかなか思い通りにはいかないかもしれませんが、
   アトランタは安心して子どもを生める場所です。

  MBA取得のために夫婦で渡米される方にはアトランタは本当に素晴らしい場所なので、
 Emoryを選択肢の1つにすることを、強くお勧めします。