米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2015年12月22日火曜日

エモリーで学べるアントレプレナーシップ


最近アプリカントの方から質問を頂く機会の多い、アントレ関連について紹介したいと思います。

TV番組"Shark tank"(MBAならば必見のアメリカ版「マネーの虎」)の人気からも分かるようにアメリカではアントレプレナーは一般市民にもメジャーな存在で、エモリー大学でも、DeanのErika Jamesが今後注力したい分野としてEntrepreneurshipを1番に挙げるように、今MBA学生たちからも最も注目を浴びている分野の1つです。


・教授/授業

エモリーでは主にCharlie Goetzがアントレの教鞭をとっています。パワフル、かつ気さくでフレンドリーなおっちゃんという感じですが、これまで9つもの起業を成功させている実力派シリアルアントレプレナーです。

〈チャーリー(中央)と"Pitch the Professor"のファイナリストたち〉

かなりの日本通で、ジャパントレックで広島原爆ドームの前で熱く語っていた姿は忘れられません。クラスでも必ず声をかけてくれて、生徒への配慮も徹底している彼のクラスは、MBAの醍醐味ともいえる非常にインタラクティブな雰囲気で、学生からの人気が最も高いクラスの1つです。

Entrepreneurship/New venture managementでは実際にビジネスを立ち上げるまでのプロセス(例:アイデア出し、サーベイ、Financial projection、Business planの作成→最後に実際の投資家にプレゼンする)を一通り学ぶことができます。私は1年制プログラムとEmoryロースクールのメンバーと共にDog Daycareのビジネスプランを作り、最後は20人程の投資家の前でプレゼンを行いました。


・起業環境

アトランタの起業への取り組みはまだまだ成長過程ですが、豊富なエンジニア人材、安い人件費や賃貸料、また数あるインキュベータープログラムに裏づけされるように、高いポテンシャルがあると言われています。アメリカ東南部から成功したアントレプレナーもおり、その中でもDavid Cummingsはまだ30代ながら、自分のマーケティング分析ツールビジネスをSalesforce社に売却し、その資金を投じて2014年にAtlanta Tech Villageを設立しました。アトランタの若い人々が集うバックヘッドにあるtech villageでは、現在、300人以上のアントレプレナーが在籍しています。(チャーリーの授業にはtech villageへの見学ツアーも含まれます。)






・起業支援

エモリーではTech Village内にMBA学生専用の部屋を購入しており、彼が開催する“Pitch the Professor"というプレゼン大会で優勝すればその部屋を利用する権利を得られます。有望なビジネスプランであればチャーリーを経由して投資家へピッチする機会も得られるでしょう。また、10千ドル規模の報奨金が出るコンペはアトランタや南部各地で開催されているようです。

資金調達は最も大きな課題です。アメリカでは確かに起業の敷居は低く、同級生も良いアイデアがあれば比較的気軽にビジネスプランを作り上げていきます。一方で、ビジネスを生み出すのは得意だが、西海岸のようにスタートアップを育てる事が難しい、とチャーリーが話す通り、VCやエンジェル投資家の存在がまだまだ少ない事が課題です。残念ながら、100万ドル以上の大型案件はアトランタではまだ珍しいレベルです。



・起業例

日本人メンバーでは昨年卒業したMATの起業体験があるので、詳しくは彼の記事をご覧ください。

その他、同級生には軍施設向けParty Busビジネスを立ち上げたり、また別の友人はBreweryビジネスを立ち上げ、上述のPitch the professorで優勝し、Tech villageの部屋を与えられ、日々ビジネスプランを磨いているようです。



・どう活かすか?

私が受けた授業はスタートアップの初期ステージに特化していたため、あくまで社内での新規事業開発に興味がある私には少し実務的すぎる面もありました。エモリーでは様々なクラスで新規事業戦略の一端を学ぶことができるため、目的によっては他の選択肢でも良いでしょう。例えば、投資側に興味がある学生にはVC/PEのクラスもあります。

一方で、起業において本当に大事なことと必要でないことの違いを学べたことは良かったです。アントレに強いと言われる他校の友人に聞いても、チャーリーほど気軽にアクセスできる教授は貴重で、彼の人脈・経験・知識を有効活用しない手はないと思います。本気で起業を考えている、またはパートナーを探したい学生にとっても、エモリーやアトランタでのチャンスは決して少なくないと思います。 


以下に簡単にですが、その他エモリーのアントレ関連のプログラムを一部紹介します。

・Entrepreneurship finance:
起業に関わるファイナンスにより焦点をおいた授業

・Applied Entrepreneurship:
実際にビジネスを立ち上げてから起こるべく事象(例:株式の分割方法や割合、危機管理、従業員管理・新規採用、効果的なマーケティング手法等)を学ぶ事にフォーカスをおいた授業


・Social Entrepreneurship関連:
詳しくはSHの記事を参照下さい

・International MSM_Israel :
チャーリー引率の海外研修(約2週間)、今年はイスラエルのアントレ事情を視察

Hack Atlanta :
エモリーBBAが主催するハッカソン




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