米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。
当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。
2010年3月15日月曜日
仕事選びでの優先順位
MBAに期待することは人それぞれですが、自分の人材市場における価値アップを求めない人はいないでしょう。実際のところ、大半の学生にとっての最大の関心事項は「次にどんなjob opportunityを得るか」。
学生間での話題に上がらない日はないと言っても過言ではありません。今日はこれまでの会話から感じた、仕事選びにおける価値観のcultural differenceについて記してみたいと思います。
��以下は、私が学生との会話で得た印象を主観的にまとめたに過ぎないことを念のため付記しておきます。一般論化するには無理があるのは当然です。・・・が一方で、かなり文化の違いの根本に迫っているような気もしています。
「仕事選びで何が重要か」
●アメリカ
・仕事領域:最優先事項は「どんな領域の仕事か」。日本の大企業でよく見られるjob rotationは、アメリカではあまりポピュラーとはいえないようで、FinanceならFinanceのプロの道を追求していく傾向が強い感じですね。「広くいろいろな経験を通じて成長していきたい」のようなアプローチは、ピンとこないようです。
・サラリー:サラリーは世界共通で大切な要素ですが、特にアメリカ人学生の間でこだわりを感じます。相当シビアに交渉しているようで、日本人社費派遣の自分にはなかなかついていけない世界です。MBAの授業でNegotiationが大切な科目になっているのが理解できる瞬間です。
●ヨーロッパ
・文化的なフィット感:ドイツ・イタリア・フランス人学生が一致して話していたのが、「ヨーロッパではアメリカに比べてlong-spanで就職先を考える傾向が強くて、実際のところ転職率も低い」こと。jobを渡り歩いてサラリーを上げるというよりも、同じ会社でポジションを上げることで責任権限を上げていき結果としてサラリーも上がるというイメージ。なので、"肌に合うかどうか"がとても重要だと。「考え方は日本に近いんじゃない?」とも言われました。
・Life planのベースになれるかどうか:上にも書いたように、会社が人生において占める比重が比較的高めなため、(1)組織として安定している、(2)個人の生活を制約しない、ことが大切な要素のようです。
「アメリカ人は仕事よりも家庭を取る、日本人は家庭よりも仕事を取る」とはwork/life balanceを論じる際に使われる対照図式ですが、彼らはもう少し広い人生に対する個人の価値観を尊重してもらえるかどうかが、job選びのポイントになっていると言います。ひとことでいうとflexibilityでしょうか。
「だって、仕事もちゃんとやりたいし、食事も毎日2時間楽しんで生きたいからね!」という、イタリアの金融が第一志望のボンジョルノな交換留学生は、アメリカと日本では絶対働きたくないんだとか。そりゃそうか。
●インド、中国
・キャリアにハクがつくかどうか:インド、中国人学生の間で驚くほど共通しているのが「数年後にサラリーupのプラス材料になるかどうか」という観点です。BRICsという言葉が生まれてずいぶん経ちますが、現在も経済高成長を続けている両国内では、条件を厳しく設定しなければ、job opportunityも比較的容易く得られるとのこと。そんな中、MBAに投資するのは、将来のキャリアアップのため。国際企業(特にUS company)における実務経験は、たとえ数年でも、人材市場において明確な差別要因になるのだそうです。逆に、競争も激しいので、ポテンシャルやB-school卒業というだけでは、大きな強みにはならないというのもリアルな話です。
economic downturnを受けて、特にVisa取得などのハードルもある留学生には、米国内でのいい仕事探しは厳しい状況が続いているのも事実ですが、それでも追求する価値があるということなのでしょう。
社費派遣組が大半を占める日本人留学生も、人生における優先順位とキャリアのかじ取りを常に考えるべきである点は変わりないはず。
Goizuetaの多様なcommunityは、アンテナ感度を高く持って過ごすことで、人生観を見つめなおすきっかけも与えてくれます。さて、あなたにとっては何が大切?