1年生のTです。今回は、1年生春学期の必修選択科目の一つであり、現在履修中の"Catalyzing
Social Impact"という授業 について紹介させていただきたいと思います。
まず授業の概要ですが、
●企業・団体が実際に抱える課題・問題に対して具体的提言を行うことがゴール。
(その点では、Goizuetaの看板授業であるGMSCに類似。)
●対象企業・団体は、社会的貢献をその設立趣旨に置いている。
(この点がGMSCの対象との違い。)
●利益改善のみならず、如何に世の中にインパクトを与えるかについての提言をチームメンバーと共に行う。
そして、この授業形式ですが、全く言っていいほど学生に丸投げです。。。4ページのシラバス以外授業中に配られたことがないです。(GMSCの授業では、ファイル一式が初日に配られてました。。。) と言いますのも、利益という数字で測れる指標がある一方で、社会的貢献には数値で測れる答えがないからです(正確には「だと思います。」)。そのため、最初、授業に出たとき、「何これ?教授の手抜きじゃん…」と正直思いました。なぜなら、対象企業・団体決定後は、「必要な助けはする。情報も全て与える。だけど、自分たちで課題を決めて、手順を決めて好きに進めてくれ」と丸投げ的に言われるわけですから…
しかし、実際に作業を進めると身をもって学ぶことばかりです。課題設定に始まり、作業行程、調査手法と、そもそも何をどのようにするかという議論から始まり、そしてその為には、どこの誰に何を聞きに行くのかと。また、何をどのように調べるのか等々、手探りの段階から始まり、挑戦、失敗、そしてまた議論と。本当に一から自分達で考えて進めています。(その他授業の比較として、例えば、GMSCの進め方等の詳細はこちらのリンクをご参考ください。http://goizueta-japan.blogspot.com/2013/02/gmsc.html)
また、授業形式も、これが公式、理論といった解説を受ける受動的な授業ではなく、担当教授が生徒と共に議論をして方向性、ゴールを見つける形になっています。その為、時には学生と教授の考えが対立することもあります。ただし、最終決定は学生が持っており、最後は学生達で決めています。その点から、個人的な感想として、学生の自主性が尊重され、積極的姿勢の結果としての失敗が許されていると感じることもあります。(決して失敗良しという意味ではなく、失敗を通して学べという視点です。)このような経験は、今後、自らが意思決定者となり、答えなき問題に取組む時に必要とされる力を養ってくれるのではないかと感じています。
さて、現在の履修学生ですが、合計9名という少数で、私は唯一の留学生になっています。(この人数で授業が成り立つのはスモールスクールの強みだと思います。)しかし、個人的には留学生も大きく活躍できる授業と思っています。と言いますのも、上にも書きましたが唯一無二の答えがないからです。すなわち、日本社会で学んだこと、日本社会の実例が十分に参考になりうるのです。まさにアメリカ人と対等の立場で議論ができる授業なのではないかと感じています。例えば、「日本では、こういう活動があり、こういう実績がある。」と言うと、アメリカ人たちは大変興味を持ってさらに聞いてきます。唯一無二の答えがないからこそ、様々なところからアイデアを学ぼうという姿勢が大変重要になるのではないでしょうか。
また、履修学生の多くが、非営利、公共団体での職歴を持っています。彼らは、高額な学費を払ってる一方で、卒業後の給与上昇がそれほど期待できない(と言われる)業界で引き続き働こういう学生たちですから、意識が相当高いです。(ビジネススクールという高額な学費の投資に足して、やはりそれなりの給与というバックが欲しいものだと思います。) そのため、授業にもその意気込みが表れてきます。また、学習意識がビジネスのみならず多分野にも及んでいる学生が多いです。参考までに、現在のチームメイトは、JD(法学博士)/MBAのDual Degree在学、MPH(公衆衛生修士)/MBAのDual Degree在学、現役軍人と皆がビジネスのみならず多分野においても強みを持つ人間です。その為、分野を超えた議論の広がりがとても楽しいです。
そんな仲間たちに囲まれてのこの授業、彼らも私に大きな貢献を求めてくるため、正直負担は大変重いです…(実際に、個人作業として最低週6時間という明確なノルマがあります。そして、さらにチームミーティングが週に2、3回と。気づけば12時間もミーティングしてたってことも。。。)しかし、実社会に戻れば、プロジェクトを進めるにあたって、そもそも講義などなく、自ら考え自ら課題を決めて始めることが当然になると思います。さらには、将来的には自らが最終決定を行う地位に就く可能性も高いわけですから。その点では、与えられた課題を一つずつこなしていく授業では学べないことを学べる貴重な授業なのではないかと思っております。
長くなりましたが、この授業を通して現在感じていることは、ビジネススクールの2年間は、職務に戻るとできないような挑戦&失敗を多数させてくれる貴重な時間なのではないかと改めて思っています。そして、とことん貪欲に、ビジネスのみならず、多分野に挑んで行ってやろうと気持ちが高まる場ではないかと思っています。そして、それを受け入れてくれる環境が、Goizuetaにはあります。