米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2016年5月9日月曜日

米国、欧州、アジアMBAの客観的・主観的比較

Class of 2016SHです。

このたび熊本県熊本地方を震源とする地震による被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。

また、2年制プログラム、1年制プログラム合格者の皆様おめでとうございます。結果を待っている方々も是非最後まで頑張って下さい。

本日、59日はGoizueta Business School (GBS)の卒業式です。私は 2014年夏にGBS2年制MBAプログラムに入学してから、2015年夏には復旦大学 (MBA)への夏期交換留学とシンガポール国立大学(MBA)との共同研究を行い、 20161月から7月までイタリアのBocconi大学(MBA)にセメスター交換留学した後、卒業となります。私にとってGBSは「世界に挑戦する場」であり挑戦し続けることが出来たことに充実感を覚えています。


これから入学する方、これから受験する方、海外MBAを検討されている方などより多くの方にとって参考になる情報をと思い、アメリカ、ヨーロッパ、アジアのMBAを客観的情報と主観的情報を用いて比較したいと思います。これまでの比較は複数人によるそれぞれ異なる基準や視点からの絶対評価に基づいており、欧米とアジアという3つの主要エリア全てのMBAを経験した留学生が同一基準で相対評価したものは稀少であると思います。

基本情報米国MBA欧州MBAアジアMBA
ランキング
TOP30
FT201614校10校6校
EC201519校8校4校
コスト学費のみ年間1,000万円程度800万円程度500万円程度
日本人推移
 TOP30
 FT2016
2010年179人98人72人9人
2017年176人74人84人18
2010年対比増減24.5%減16.7%増100.0%増

5C分析米国MBA欧州MBAアジアMBA
1. Class;クラスに関する比較
必修科目
期間1年制、2年制問わず半年から1年程度半年(1年制)から1年程度半年未満(HKUSTなどは3ヶ月のみ)
内容Management, Marketing, Accounting, Finance, Operation, Leadership, に加え近年はData Analysisなども含まれる左記に加えてEntrepreneurshipやEthicsなどがコアに含まれることが多い米国MBAとほぼ同じく一般的な必修科目が含まれる
選択科目
期間1年〜1.5年程度半年〜1年程度半年〜1年程度
内容【ケース】扱われるケースは米国MBAで作られた米国企業に関するものが多い。また途上国関連では中南米に関するケースが多い。

【選択肢】教授の数が多く、ラージ・スモールスクール問わず選択肢の幅は広い。ラージスクールでは人気科目を履修できないことも多い。
【ケース】HBSを中心とした米国MBAのケースが軸。途上国関連ではアフリカやアジアが取り扱われることが多い。

【選択肢】米国MBAに比べて選択科目期間が短いこと、教授陣の層が劣ること、交換留学や中長期プロジェクトが多いこと、などから選択肢は少ない。
【ケース】HBSを中心とした米国MBAのケース。アジアにフォーカスした内容も多く、国際的なバランスは良い。途上国関連では東南アジア、南アジアに関するトピックが多い。

【選択肢】教授陣の層の厚さについては、米→欧→アジアの順であり選択肢は少ない。交換留学してこれを補う学生が多い。
教授陣実践重視、米国トップファームの経験者が比較的多く、実例が多いややセオリー重視、トップファーム(金融、コンサル)の経験者が比較的少ない実践重視だが、ビジネス実務経験がアジアに偏る場合が多い
交換留学1割未満が交換留学生、1割未満が交換留学に参加3割程度が交換留学生、3割程度が交換留学に参加1割程度が交換留学生、3割程度が交換留学に参加
2. Community:コミュニティに関する比較
学内
多様性【国際性】インターナショナル比率は高くて40%程度。アジア学生比率が高い。欧州、中東などからの学生は5%程度。

【経験】一般企業で働いていた学生が多く、起業家、芸術家、士業従事者などは少ない。平均年齢は20代後半。
【国際性】インターナショナル比率は最低でも70%程度。東欧、中東、北米、中南米からの留学生も多い。

【経験】起業家、芸術家、士業従事者など幅広い。平均年齢は30代前半。
【国際性】インターナショナル比率は比較的高いが、アジア系学生が半数以上。交換留学先として人気も高い。

【経験】一般企業で働いていた学生が大半でその他は極めて少ない。平均年齢は30代前半。
雰囲気良く遊び、良く学びがモットーだが、ネイティブとノンネイティブとの親密性は比較的低い。毎週のようにパーティが開かれる為、交流の機会は多い。良く遊び、良く学ぶが、ハメを外すことは年齢や価値観から少ない。ほぼ全員がノンネイティブな為、そこに境界線は無い。基本的に良く学ぶがモットー。アジア系学生がマジョリティであり学生間の親和性が高い。
学外
他大学【世界】米国トップ5のスクールでは欧米共通のケースコンペなどがあるが、それ以下では米国内のコンペなどが限界。

【米国内】地理的に近いスクールとの交流がメインとなる。
【世界】トップ30に入る欧州MBAであれば、米国トップ5のスクールを含むケースコンペの参加が可能。

【欧州内】各スクール間の移動は安価で時間もかからない為、交流機会が多い。
【世界】欧米MBAに比べ、世界のトップスクールと関わるコンペは少ない。

【アジア内】地理的に近いスクールとの交流がメイン。
企業米国内のアラムナイネットワークが強い。大都市ほど大企業が拠点を置き、プロジェクトなどによる関わりも強い。Emory(GBS)とCoca-Cola社のように特定の米国企業と関係が強いスクールもある。インターナショナル比率が高く就職先も分散している為アラムナイネットワークは米国に比べ弱い。大都市であっても経済が盤石ではない国も多いこと、欧州企業におけるMBAの位置付けは米国程に高く無いこと等からMBA所在国企業との関係が強いとも言いがたい。アジアにおけるアラムナイネットワークは強い。シンガポール、香港、中国などの企業やグローバル企業のアジア拠点との関係性は強い。
地域ボランティアなど多い少ない少ない
3. Career:就職に関する比較
地理分散95%が米国にて就職。ノンネイティブによる米国企業、米国拠点への就職は難。欧州を中心に幅広い。欧州では現地国語を話せるかどうかが依然として鍵。アジアが中心であり、欧米における就職競争力は未だ相対的に高いとは言えない。
業種分散コンサル、金融が依然として希望、実績共に高い。スクールによっては起業する人もいるが、数は多く無いのが現状。コンサル、金融だけではなく、ファミリービジネスを継ぐ、或は既に起業している、など経営者になる数が比較的多い。コンサル、金融を目指す人、就職する人が多い。その他グローバル企業のアジア拠点への就職も多い。
給与水準
FT2016
$160,898 (96.9%)$146,021 (102.1%)$141,341 (122.3%)
就職率93.10%87.60%90.70%
機会NY、ボストン、シカゴ、LA、アトランタなどの大都市にあるスクールでは毎週、米国本社のグローバル企業主催の校内就職イベント、ネットワークイベントが開かれる。各校で開催されるイベントには欧州スクールの誰もが参加できることが多い。欧州の景気減速によりLBS以外は卒業後3ヶ月内就職率80%代のスクールが多い。欧米に比べると就職イベントは少ない。グローバル企業やローカル企業などアジア域内における就職、アジアビジネスにフォーカスした採用イベントが多い。
4. Club:クラブ活動に関する比較
種類就職系と実践系就職系と運動系就職系がメイン
リーダーシップノンネイティブのリーダーは少ないノンネイティブのリーダーが多いノンネイティブのリーダーが多い
イベント学内におけるイベントが多い欧州各国でのイベントが多いアジア各国でのイベントが多い
5. City:都市生活環境に関する比較
生活
衣類郊外型アウトレットやRack、TJ MAXX、Marshalls、Rossなどのディスカウントショップがお買得ラグジュアリーブランドのアウトレットや欧州各国のカジュアルブランドがお買得ラグジュアリー、カジュアルブランドいずれもやや高いがローカル製品は安い
食事アメリカ料理がメイン。日本食材の購入は大都市であれば可能だが中小都市の場合は高価すぎるかアクセスが不便。品質によって価格が大きく異なる。欧州料理がメイン。種類が多くリーズナブル。肉、魚、卵、生鮮食品などが高品質の割に安い。ローカル向けは安いが、スーパーなどの食品は高い。欧米で一般的な品質の食材は高価。
住居一部の超大都市を除きアトランタなどは日本の半分程度の賃料と思って良い。ロンドンは高い、パリ、ミラノは日本並み。欧州は一般的に古い建物が多い。香港、シンガポールは日本の1.5〜2.0倍程度の賃料。
生活費車が必要となる地域が多く、車コストを考慮する必要がある。様々なことはお金が解決してくれる為、お金をかければ良い生活ができる。車は多くの地域で必要無い。食料品を含め生活必需品が比較的安価に手に入る為、お金をかけなくても良い生活ができる。車は多くの地域で必要無い。とにかくコストを抑えたければ、抑えることができる環境。
移動
通学一部の大都市を除き通学や生活にも車が必要。車は基本的には必要無い。車は基本的には必要無い。
旅行アメリカ内に魅力的なエリアが多くある為、米国内を巡る人が多い。中南米も多い。アメリカ内は歴史の短さを感じることもある。欧州内には魅力的な観光地等が多く、移動も時間がかからず安価(空路、陸路)。週末に欧州内の海外旅行をする人も多い。香港、シンガポールは比較的国土の小さい国である為、海外旅行が盛ん。週末にアジアのビーチ等旅行する人が多い。
帰国一部の大都市(NY、ボストン、アトランタ、SF、LAなど)を除いて直行便が無い。欧州各国から直行便があり便利。直行便が多く存在し所要時間も短い。

今回が私の最後のエモリー在校生ブログ更新となります。
これまで長文・乱文を読んで頂きました皆様に心より御礼申し上げます。
201659 SH
(ご興味のある方は、過去ブログもご覧下さい)
■201410月【 課外活動】クラブ活動について

■2015 03月【選択科目&課外活動】Social Entrepreneur & Impact Investment

■201508月 MBAと現実を繋ぐ夏 夏の過ごし方()

欧州MBAサッカー大会に出場(2016.4月)