米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2017年6月12日月曜日

Electiveで印象的だった授業(VCPE, Entrepreneurship)

みなさんこんにちは。
今日は昨年度選択した授業の中で印象的だったものをいくつかご紹介したいと思います。
過去の投稿でもすでにいくつかの授業について紹介されていますので、もし重複があればご容赦ください。

【VC/PE】
ベンチャー投資のためのファイナンスとプライベートエクイティについて学ぶ授業です。教授はKlaas Baksというオランダ人の先生で、富士銀行(現みずほ銀行)にも勤務経験のある、実務に通じた先生です。授業は講義とケースが半々、ケースは毎回チーム課題になっており、1ケース2-30ページ+スプレッドシートと分量が多く難問揃いで、かなり苦労しましたが、得たものも多かったです。

授業はベンチャーファンドで使われるLPSの説明から始まり、LP、GPのなんたるか、LPとGPの立場からの利回りを正確に計算しExit Diagramを描く練習、ベンチャーキャピタル法によるバリューエーション、Pre/Post Moneyなどの基本から始まり、投資ストラクチャー(Common Stock, Preferred Stock, Convertible bond, Loan + Warrantなど)、タームシート(Investment condition)、交渉など、実際に実務でぶつかりそうな障害を、Accel Partnersのようなアメリカのトップベンチャーキャピタルファームが実際に行った取引のケース(一部のディールは実際のタームシートも)を元に学んでいきます。また、Venture Capital and the Finance of Innovationというこの分野の名作が教科書になっていて、本をしっかり読み込んで勉強するいい機会にもなりました。
課題はヘビーで楽なコースではないですし、ケースのお値段もかなり高額でしたが、そのぶんしっかり勉強しようという気になって得るものの多い授業でした。教授自身も富士銀行勤務のあと投資銀行、PEの仕事も経験されている方で、実務経験も交えた経験談は非常に面白いものでした。また、教授はEmory Center for Alternative Investementという、オルタナ投資の研究所も運営している方なので、他の授業では材木やアートへの投資など一風変わった投資対象も取り上げておられます。これらの分野にご興味のある方は、こちらのリンク先に紹介されていますので、ご一読ください。
http://goizueta.emory.edu/faculty/cai/

【Entrepreneurship】
GBSでアントレプレナーの授業の教鞭をとるCharles Goetz教授の授業です。教授自身いわゆるシリアルアントレプレナーとして9つのビジネスを立ち上げたご経験のある方です。また、親日家の先生で、今年3月にはMSM Japan(いわゆるJapan Trek)の引率教授として一緒に日本のベンチャー企業を訪問しました。MSMの様子はこちらのオフィシャルブログにも紹介されています。http://www.voiceofgoizueta.com/category/traveldiaries/
授業はビジネスアイデアをどのように導くかということを実例やゲストスピーカーを交えながら学び、その後事業計画の作成、ビジネスアイデアピッチという流れで、最終的に皆の前で投資を募るためのプレゼンを行いますが、マーケティング的な観点からの示唆も多く非常に楽しい授業でした。
いわゆるシリコンバレー流の世界を変える、Disruptiveなアントレプレナーシップではなくて、もっと地に足のついたビジネスを着想しようという感じの授業で、口座はcommunity bankで開設するのがいいとか、オフィスは居抜きがないか探せとか、家具はこういうところで買えば安く手に入るとか、封筒などの事務用品にはある程度金をかけろ、とかビジネスを成功させるための具体的な知恵がいろいろと詰まった授業で非常に学ぶところが多かったです。

このように、GBSにはPEやアントレプレナー関係のリソースも結構充実していますので、この分野にご興味をお持ちの方のニーズも十分満たせるのではないかと思います。ぜひ学校研究の際のご参考になさってください。