Class of 2013のTomoakiです。
さて、今日はMBAって本当に仕事に役に立つのか、という問題について考えてみます。
昔から、「MBAは無価値である」と主張されています。
いわく、机上の空論で実際の仕事では役に立たない。
とか、留学は本来得られるはずだった職務経験を奪う。とかです。
��MBAに通っていながら、こんなことを言うのもなんですが、)
僕もこの考えには賛成するところがあって、確かにMBAには机上の空論に終わるような側面もあると思います。
一方で、MBAでしか得られないメリットがあるのも確かなので、
そこで、今回はMBAの価値とは何かを個人的に3つに分けて書いてみます。
��.企業関係の知識
まず最初は、「ハードスキル」です。
具体的には、会計、ファイナンス、マーケティングなどの仕事で使われる知識になります。
ハードスキルには数字が得意な人と、「答えのない世界」が好きな人に分かれることが多いです。
数字に強い人は、会計、経済やファイナンスなどの分野が得意で、数字を元にロジックを組み立てていきます。
「答えのない世界」が好きな人は、マーケティング、ストラテジーなど答えが一つに定まっていないため、自分自身の独創的な視点でロジックを組み立てていきます。
自分がどちらに強いのか、見極めながら、知識を深めていくことになります。
どちらが得意にしても、こういった企業関係の知識を一律に学んでいくことは、これまで知らなかった分野の知識を得ることができるので、将来的にプラスになります。
��.ネットワーク
次に人的関係です。
MBAに通うと学校で仲間ができて、さらに卒業生とも仲良くなれます。
アメリカにおけるMBAの卒業生ネットワークはかなり強く、一生このネットワークを使って人脈づくりができます。
意外に思われるかもしれませんが、アメリカは日本以上のコネ社会。
例えば、僕のクラスの48人中、7割が知り合いの紹介で採用されて仕事をしていました。これが、トップスクールともなると、各業界のキーパソーンが同窓生にいるので、卒業生ネットワークは非常に強力になります。 日本でも、多くのMBAでは、卒業生の間で交流会などが開かれて、人脈作りに一役買っています。
日本でも人脈はとても重要ですし、これはMBAの大きなメリットの1つだと思います。
��.ソフトスキル
最後に、ソフトスキルです。僕はこのスキルがMBA最大のメリットだと思います。
MBAではひたすらグループワークが多いので、グループでのリーダシップやアメリカ人との付き合い方を学ぶことができます。
年齢、学歴、職歴が関係のない世界で、ロジックやプレゼンで自分の意見をどう通すか。チームメートとどう交流していくか。
こういった積み重ねが国際的に活躍する下地になります。
また、もう少し長期の視点に立つと、一度、「素の自分」に戻って人間関係を構築できる機会がMBAで与えられます。新しい友達や環境に身を置いて、自分が何をしたいのかゆっくりと振り返ることができます。
日本人でMBA留学する年代はだいだい30代前後。
そうすると、職歴は最低5年程度はあるビジネスマンばかりです。
そのころになると社内のレピュテーションも出来上がっていて、仕事に慣れる一方、「会社の一員」としての意識が知らず知らずのうちに強くなり、「●●会社の○○係長」として見られることが多く、1個人として見られることが少なくなります。
そんな中、組織を離れて一個人に戻って、自分のやりたいことや将来の目標をとらえなおせる。
そしてその目標に向かって、優秀な仲間たちの中で、必要なソフトスキルを学んでいけるというのが、今のところの僕が考えるMBAの最大のメリットです。
最後に、冒頭で申し上げたMBA不要論については、昔から主張されていることですが、特にここ数年発売された2冊の本が僕はお勧めです。
まず、1冊目は、フランスのトップMBA、INSEADの教授をしているミンツバーグ氏の「MBAが会社を滅ぼす」(日経BP社)です。
ミンツバーグは、マイケル・ポーターのような理論重視ではなく、研究対象のビジネスマネージャーなどに同行して研究することで有名ですが、そのミンツバーグがMBAを「不要」と断言しています。
例えば、不振米国企業のエグゼクティブにおけるMBA取得者の比率は90%。一方、好調な企業のエグゼクティブにおけるMBA取得者の比率は55%など数値を使って、MBAがなぜ会社に悪影響を与えるのかを、つらつらと描写しています。
また、元デイリーテレグラフの記者でハーバードMBAを卒業したブロートン氏が描いた「ハーバードビジネススクール-不幸な人間の製造工場-」(日経BP社)も有名です。
マクロでは、メリル・リンチを破綻寸前に追い込んだスタン・オニール、エンロンを破綻させたジェフ・スキリングなど、ハーバード卒業生の判断が経済を悪化させる例を記載。
ミクロでは、ハーバードMBAの授業における「違和感の残る風景」を具体的に描写しています。
思いついたままを書きましたが、MBA留学に際して、「MBAで何ができるのか」を考える際の参考になれば幸いです。