米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。
当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。
2012年6月27日水曜日
MBAの知識を自宅で手に入れるためには?
Class of 2013のTomoakiです。
さて、今日は既にMBAへの海外留学が決まっている方、
MBA留学には興味がないけど、ビジネス方面の知識が欲しい方に向けて、
自宅でMBAの知識を得るにはどうすればよいか、書いてみたいと思います。
僕が日本にいた頃、MBA関連の知識を身に着けるために行っていたのは、月並みですが、「読書」です。
しかし、ただビジネス関係の本を読書するだけでは、あまり参考にならないので、
僕は特にアメリカのMBA大学院が出版している本を読むことをお勧めします。
例えば、雑誌ではハーバードビジネスレビューなどは有名ですし、
書籍では英治出版から出版されているペンシルバニア大学のウォートン校が執筆する
「ウォートン経営戦略シリーズ」とダイヤモンド社の「ハーバードビジネスレビュー」シリーズは良書がそろっているので、個人的にお勧めできます。
こういった本を利用して、自分のビジネス知識を広げると留学後も活用できますし、留学しなくとも仕事にプラスに働くことになります。
今日は、僕が「ウォートン経営戦略シリーズ」の中で特におすすめできる1冊の概略を以下に記してみます。
もし興味があるようでしたら、本屋で手に取って眺めてみてください。
決断の本質
著者:マイケル・ロベルト
英治プレス
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%8C%88%92%E8%82%CC%96%7B%8E%BF
職場での意思決定について書かれた本です。
職場では
一度決まったはずの議論が再びぶり返したり、中々決まらなかったり
会議自体に意味がなかったり、そんなことがありえます。
そんな意思決定プロセスを円滑に行う方法を記載したのが本書です。
宇宙ロケット コロンビア号の爆発
ケネディ大統領によるビックズ湾事件
イラクにおける米軍の誤射によるブラックホーク・ヘリコプター撃墜事件
など、著名な事実から、意思決定プロセスの円滑な進め方を説いていきます。
この本を一言で言うと
「人は、意思決定の内容と同じくらい、プロセスを重視する」
ということです。
人は、決まったことよりも、どのように決めたかによって、意思決定の質及び意思決定へのコミットメントが定まります。
例えば、ロケットのコロンビア号が爆発した事件では、事故の原因となった箇所は発射前も議論されていましたが、NASAでは「部下は偉い人にはメールを送らない」、「下の人間は上に対して強硬に主張しない」という文化があったため、部下が問題の箇所を指摘した際に、上司が「問題にすべきではない」と発言したため、会議では追及されずに、事故が起こりました。
部下が認識していたにも関わらず、上司の一言や組織文化によって意思決定が進まなかったのです。当然、その部下は決定に対して不満で、当時は同僚に怒りのメールを送信していました。
また、イランにおける米軍のF15戦闘機が、自軍のブラックホーク・ヘリコプターを撃墜した事件でも、F15戦闘機の乗組員は、常時2名おり、更に管制官と通信ができる状態でした。
しかし、部下の乗組員が自軍のヘリを誤って、「敵軍発見」と報告した際に、上司の乗組員は明確な返事をせず、管制官も同様の対応をしたため、事故が起こりました。
これは、部下に任せようとしていた上司や明確な返事をしなかった管制官の意思決定プロセスに齟齬があったことになります。
この本が示唆する意思決定に必要な点は以下の通りです。
・チームが互いに打ち解けるにつれて、率直さと討論の質が高まる。例えば、ビッグス湾事件では、ケネディ大統領の外交対策チームは、結成したばかりだった。
・出席者同士の意見交換を促進し、会議をリーダーと出席者との1対1の会話の寄せ集めにしない。
・質問、反対の時間を作る。会議の効率化は時に問題が生じる。
・リーダーはメンバー間に、議論中、個人的な感情的対立がないか気を配る。
・リーダーは反対意見が自分の手元まで上がってくるのを待ってはいけない。リーダーが個人的にアイデアなどを聞かせて欲しいと頼む。
・会議は決定の場として使用する。会議以外を決定の場として使用すると、会議が意味を持たないこととなる。
本の説明が長くなってしまいました。
この記事がみなさんの参考になれば幸いです。