米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2012年6月20日水曜日

MBAとロースクールの違い



Class of 2013のTomoakiです。





さて、僕は昨年度までシカゴのNorthwestern大学ロースクールに通っていました。

現在、エモリー大学のMBAに通っているので、MBAではロースクールとの違いに驚くことが多々あります。



MBAの特徴をつかむには、他学部と比較すると分かりやすいかと思い、

今回はロースクールとMBAの違いを綴ってみたいと思います。



��.勉強方法



まず、最初に勉強方法ですが、基本的に弁護士は一匹狼という意識が強いので、弁護士養成学校であるロースクールも一人で条文を読み込むという授業スタイルが多かったです。



僕は会社法、M&A、破産法などの企業法制系の授業を取りましたが、どの授業も膨大なリーディングアサイメントが与えられました。

ロースクールには有名な「行動の三角形」というものがあって、意識的に活動しないと自宅と図書館と大学の教室の三角形で生活が済んでしまうという話があるくらい、この膨大なリーディングをこなすだけのタコツボ的生活が続きます。



また、宿題も緻密な作業を求められることが多くて、訴訟相手側に送付するlegal documentを一言一句詰めていく根気のいる作業や、判例の細かい事例を読み込むことが多く、要領の悪い僕は毎日頭痛がしていました。。。(泣





それに比べると、MBAは議論、グループワークという集団作業が授業で求められることが多く、圧倒的に他の学生と話す時間が多いです。

平日はみんなでプレゼン資料や提出資料を作成して、土日ではパーティーなどで親睦を深めていく文化があるので、ロースクールよりも楽しく陽気なイメージがあります。



エモリーMBAでは、休み時間ごとにみんなで歓談したり、毎週金曜日の授業終わりにはピザとビールが振る舞われて、和気あいあいと会話を楽しむため、勉強のonとそれ以外のoffがはっきりしています。





��.アメリカ人生徒との関係



次に、アメリカ人の生徒との付き合い方です。

ロースクールでは、生徒は外国人生徒(LLM)とアメリカ人生徒(JD)にわかれていて、出席するクラスも違う場合があり、アメリカ人と仲良くなる機会が少ない印象があります。

さらにLLMは1年間で卒業、JDは3年間で卒業なので、アメリカ人生徒からみると、毎年入れ替わる外国人生徒とはどうしても仲良くなる機会が減ってしまいます。



一方で、MBAは1年制にしても、2年制にしても、同じ時期に入学/卒業するので、仲間意識が芽生えてかなり仲良くなれます。

特にロースクールでは、MBAのように土日にパーティーをする文化がありません。僕の通っていたNorthwestern大学はかなり風通しのよい大学だったので、最初の半年間はパーティーがありましたが、それでも集まるのは外国人生徒に限られていました。



一言でいうと、「個人の能力」を育てるのにはロースクール。

チームワークなど「他との関係」を学ぶのがMBAといった印象があります。





��.学べる事柄



僕がロースクールで学んでよかったことは、アメリカの法制度はアメリカという国を象徴しているということでした。

ロースクールでは、アメリカ法の歴史や構造を学びますが、その知識は今のアメリカを理解するのに必須といってもいいものです。



堅い話になりますが、

アメリカ法では連邦法と各州の州法が併存していて、連邦法は基本的に曖昧に記載され、実質的には各州法や各判例に権限が委譲されていることが多いです。



この連邦政府と州政府との微妙な力関係は、元をただせば、ジェファソンやハミルトンといった建国の立役者が悩みながら決めて行ったことで、連邦政府の力を巨大にするのか、それとも各州に権力をゆだねるのかといった建国以来の連邦主義対州権主義というのが、現代でも未だにせめぎ合っています。



例えば、大統領選挙でも話題になっている、オバマ大統領が打ち出した国民皆保険制度(通称「オバマケア」)では、連邦裁判所と各州の最高裁判所が異なった判決を出していますが、このような大事な問題でも連邦と州の判断が割れるくらい、はっきりと州に権限委譲がされています。

連邦と州という観点でアメリカを見ると、日本の中央政府と県庁とは全然違ったレベルで、権限のせめぎあいが行われていることが分かって興味深いです。





一方で、MBAではアメリカ企業の文化/考え方を学んでいる感じで、

今のアメリカを形作った「資本主義」とは何なのかを、企業のケーススタディーを通じて学んでいます。



アメリカの「イノベーションを促進する文化」、「顧客をとことん大切にする文化」など各企業ごとに異なった企業文化をユニリーバ、フォード、リッツカールトンといった企業を通じて、勉強しているのですが、そこには利益を得るにはどうすればいいのかを徹底的に追及する文化があると思います。





とはいえ、僕もMBAに入学してまだ1月半。

今後、企業関係の色々なことを学べると思うので、適宜、このブログで報告させていただきたいと思います。





今回は、たまたま僕がロースクールとMBAという両方の大学院に在籍していたため、このような

形で、違いを書いてみました。



他にも、代表的な留学先として、公共政策や経済学などがありますので、身近な知り合いにこういった分野での留学帰りの人がいれば、MBAとの違いを聞いてみるとよりMBAの特徴が分かると思います。